アメリカーナな車たち



さて、連載と同時進行で読まれている皆さんにとっては約二カ月ぶりのトヨタ博物館のお話、今回はとにかくアメ車限定、その黄金期から断末魔期まで、ざっと1950年代から60年代末までを見てゆきますぜ。



キャデラック エルドラド ビアリッツ(Cadillac Eldorado Biarritz) 1959年型。

GMの最高級ブランド、キャデラックが1952年から販売を始めたのがエルドラドで、以後、2002年の販売中止までキャデラックの中でも高価な車の一つでした。展示の車は1959年から販売が始まった第四世代のオープン車で、そのゴテゴテぶりからアメリカ車の象徴と言っていいデザインとなったもの。ちなみにエンジンも6400cc(笑)、345hpとアメリカ車らしい化け物エンジンとなっています。

ちなみにエルドラドは伝説の黄金郷、ビアリッツはフランスの保養地の名前ですから、日本語に訳すとニライカナイ 軽井沢って感じですかね。何考えてんだ、この名前。ちなみにオープン車がビアリッツ、屋根付き(ハードトップ)がセビリアという名称だったようです。



この車の場合、装備とかメカニズムとかは全てワンパンノックアウト、とにかくこの形状に注目でしょう。何が凄いってこの車、人が乗る部分はドア前後の狭い空間だけ、それ以外の前後部分はドカンと無駄に広がるだけなのです。ちなみにこのオープン型では畳みこみの幌のため(電動式でスイッチ一つで開閉する…のだが1分前後かかる)、後部座席はほぼ無いに等しく、事実上、このサイズで二座席の車となっております。空間を無駄にした工業製品としては人類が到達した最高峰の一つでしょう。そもそも無駄という言葉の定義から始めねばなるまい、という存在ですらあります。



そしてアメ車黄金期の象徴、全く合理的な意味を持たぬ飾りだけの派手な尾翼部分。ウルトラ警備隊でも採用を躊躇するようなデザインとカラスでも拾うのを迷うようなキンキラ金のクロームメッキ、まあこれぞアメ車、という車ですね。アメリカにおける最高級車の一つなんですけども…。まあ嫌いじゃないけど、君に上げるから乗って帰れ、とか言われても心底困る、という車ですね。


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