馬車時代の1868年(明治元年だ)に創業していたスチュードベーカー (Studebaker)社の戦後最初の車、 コマンダー(Commander) 1949年型。ちなみに1947年から販売は開始され、これがアメリカにおける戦後初の完全新設計の新型量産車でした。



スチュードベーカーは当初、電気自動車で参入して来たのですが、後にガソリンエンジン車にも参入、戦後1966年まで存在した自動車メーカーでした。三大メーカーの支配するアメリカ市場でそれなりに頑張ったと言っていい会社の一つでしょう。その最上級モデルがこのコマンダーでした。戦後最速、1947年の段階で完全新設計のこの車を発表し、その洗練されたデザインから大ヒットモデルとなりました。

余談ですがトヨタの誇る世界最強軍用車であるランドクルーザー、その名はトヨタの発明ではなく、このコマンダーのロングボディモデルが最初に名乗ったものでした(1933年発売開始、1955年販売終了。ちなみにトヨタがランドクルーザーの名を使い始めるのは1954年から。地上の船室付き巡洋船という造語を最初に造ったのはスチュードベーカーである。ちなみにトヨタはより攻撃的に巡洋艦の意味で使っている説アリ)。



この1949年型から採用された流麗なスタイルを、スチュードベーカー社はスターライトクーペと名づけて売り出しました。車体後部の丸みを帯びた窓とそこから繋がる丸みを帯びたトランク、後輪のみ外に飛び出すフェンダーなど、流麗なデザインは大ヒットとなり、以後のアメリカ車の多くが似たようなスタイルを採用する事になります(ただしどの時代にもいる、新しいものを拒否する連中からはどっちが前か判らんデザインと言われたが)。そしてこれまた、P-38ライトニングの影響を受けたと言われているのです。



これ以降、1950年代の多くのアメ車のテールフィン、跳ね上がった左右の尾翼型の飾りのモデルとなった存在として何度も名が出て来るロッキードP-38ライトニング。ここで写真を掲載して置きましょう。見ての通り、特徴的でカッコいい機体ですな。

双発エンジンから繋がる、独特な双胴の設計で、大戦初期に活躍した陸軍の戦闘機です。当時の軍の宣伝映画にもよく登場しており、アメリカ人にはお馴染みの、“カッコいい”機体だったようです。



スチュードベーカーのコマンダーが影響を受けたと言われるコクピット回りをアップで。よく見ればあまり似てない気もしますが、その流麗な形状に刺激された、という感じでしょうか。いずれにせよ、第二次大戦期の戦闘機のデザインが戦後のアメリカ車に大きな影響を与えたのは確かです。


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