チケットを買って入り口を入ると中央の吹き抜けの下に出ます。ここから二階、三階まで移動して見学開始となります。入り口で順路としては二階からになります、と教えてもらったので、とりあずそこから見て行きますか。



でもってその入り口に展示されているのがこのトヨタ AA型。

戦前(ドイツですら開戦前)の1936年に造られたトヨタの最初の市販車です。ナンバープレートにあるTOYODAは誤字ではなく、当初の社名は創業者の名前に忠実なトヨ「ダ」だったから。ただし1936年10月には社名が「トヨタ」になっており、初期の少数生産分だけが「トヨダ AA型」で、以後は「トヨタ」です。でもって展示の車両は1986年に造られたレプリカでして、特に生産時期が特定できるものでは無し。だったら「トヨタ」でいいんじゃないの、という気がしなくもなく…

1400台が生産されたようですが、なぜか唯一の現存車両はオランダにあり(正規の輸出車ではなく大戦後、満州からソ連が持ち去ったものらしい)、後はこの博物館のレプリカがあるのみ(2台制作され両方ともこの博物館に展示)。すなわち滅多に見れない貴重な車両ではありまする。ただし当時の技術ですから、ほぼアメリカ車のコピーでエンジンは1933年式シボレー直列6気筒エンジンを参考にし、車体設計は1934年に初めて流線形を取り入れた量産車、クライスラーのエアフロー(後述)の影響が強く見て取れます。全体的に1936年としては先端を行くデザインだったんですがヘッドラップが剥き出しで外付け、という辺りの中途半端な保守性がトヨタらしい所ではあります。



内装までキチンと再現されていました。前列もベンチシートなのか。ちなみに4枚ドアは観音開きで前後に開きます。これも当時の世界標準。



では言われた通りに二階から見学して行きましょう。



この時は右側から入っちゃったんですが、時系列的には左からの見学が正解だったみたい。とりあえず最初にあった車、1934年式シボレー マスターシリーズDA。先のトヨ「ダ」AA型がエンジンの元ネタにしたのがこの車。

ちなみに戦前、日本に進出していたGM(ゼネラルモーターズ)が、その大阪工場においてノックダウン生産で造っていたのが、まさにこのマスターシリーズでした。それを買って分解して構造をパク…参考にしたんでしょうね。



後ろから見るといかにもシカゴのギャングが乗ってそうな車です。アメリカの禁酒法は1933年には終了、アル・カポネも既に31年から刑務所に入っているので、実際はその一世代後の車なんですが。ただしギャング映画などでは、このマスターシリーズ車両よく出ていたように記憶しますけどね。


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