支払いを済ませて切符を受け取ると、ホントだ式根島と書いてある。連中は本気で俺をこの島に送り込む気らしいと知る。当然、これも伊豆七島の一つであり、最初から候補地の一つであったわけですが、私の名推理によると、ここは予定地に含まれておらず。よって全くの予備知識なし。以下、拙僧によるミステリーきっぷの行き先に関する名推理の流れを確認して置きましょう。

■片道4000円がでそんな遠くまで乗せてやったら東海汽船は大損であろう(航行に必要な燃費は搭載重量に比例する)。
■だったらミステリーの名は建前で、実際は最初の大島か、せいぜいその隣の利島で降ろしちゃうに決まってるじゃん。
■そもそも利島から先まで言っちゃうと滞在時間は3時間を切ってほとんど何もできないからお客さんに不評であろう。
■よって常識的に考えて利島までの情報を集めて置けばバッチグー。むはは、破れたり東海汽船。

と思っていたのですが、残念ながら東海汽船は本気のギャンブラーであり常識など通用せず、利島から先にまで平気で日帰り客を送り出す根性の持ち主だったのでした。おのれ、やるな東海汽船。おそらく部長が朝にサイコロ振って行き先を決める(一が出たら生きて帰って来れない)、あるいは社長宅のミーちゃんが食べたチュールの本数等で行き先を決める位の事はやっているかと思われます。無念、敵は遥かに上手だったと認めざるを得ませぬ。

ちなみに切符の右側に住所氏名等を書く欄があり、これを記入しないと船に乗せてくれない、との事。急ぎ記入して式根島行きに備えまする。
 


すぐに乗船開始のアナウンスが。式根島の事は船内で調べればいいかと乗船口に向かうとこの行列。あれま、閑散期と思っていたんですが、思った以上のお客さんが居るじゃん。この日はナウなヤングの冬休み初日にでもあったので、その影響もあったのか。実際、若い学生さんらしき集団が多かったです。



でもってこちらがホンモノの今回乗る船、さるびあ丸さん。総トン数で6099トン、全長で118mと本格的な大型フェリーです。実はわたくし、外洋航路の船に乗るのは初めて。香港からマカオまでの高速船に乗った事はありますが、あれも島に囲まれた巨大な湾といえば湾だし、石垣島から西表島も島嶼内の航路でしたし。

よってなんかもう、ワクワクしますな。ちなみに最大船速は20ノット(約37q/h)、そこそこの速度ですが魚雷攻撃を受けた場合、回避運動はちょっときつい速度でしょう。まあそこは運と割り切って乗船ザマス。ちなみに座席数(ごろ寝の2等船室含む)は733人との事ですが、旅客定員は1343人となってました。船舶の旅客定員の定義が良く判らんのですが、通路までスシ詰めにすれば倍近く乗れるって事?



ちなみに竹芝桟橋のみ、航空機のような搭乗橋からの乗船になります。よって他の島での乗り降りより一階層高い場所から乗降する事に。このため、式根島で降りる時、乗降口の場所でちょっと迷う。なんでこんな面倒な構造に…と思うんですが、何か深い理由があるんでしょうか。



乗船すると船内中央のロビーのような場所に出ます。階段には階数表示がありますが、1階は機関室なので入れず、客室は2階からです。ちなみに2等客室は船体底の後部方面すなわち機関室の上のウルサイ場所にあり(ただしそこまで気になるものでは無かった)。対して特等室などは船体高層階の船首方面になっています。軍艦の士官室と一般兵の振り分けと同じだなあ、と思う(ただし懲罰室の独房は最先端の艦首部にある事が多いが)。海軍のあれ、貴族社会の名残みたいなものだから、そろそろ止めればいいのに。

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