■夕撃旅団の野望 今回の博多の旅、実を言うと直前まで13年ぶりの香港に行くつもりでした。 6月の頭に突然、有給の消化を命じられ、5日の休みが発生、しかもこの段階でJALが香港行きの航空券の特売をやっており、総額10万円以下で行けそうな状況だったからです。ところがどうしても一日だけは別の用事で動けなくなり、そうこうしてる内に航空券は売り切れてしまい、妥協策として国内旅行に切り替えたのです。ゴメン、福岡、FUK。 でもって我が夕撃旅団というか私が神をも恐れぬ野望としてここ数年追及してる旅のお題が「日本の百万都市完全制覇」でした。問題は「制覇」の定義で、各都市を武力制圧する、各市長のパンツを盗む等、個人ごとの定義が存在しうるのですが、私は延べ8時間以上現地に滞在し、各都市最大の繁華街地区を自分の脚で歩き回る、を「制覇」と定義しております。 ちなみに日本の百万都市、実は東京には存在しません。23区が超絶合体すると900万を軽く超えてきますが、単独の自治体で百万を超える物は無いのです。まあいずれにせよ東京は今住んでるので問題外で、残り11の百万都市がその制覇対象となります。ちなみに2022年段階の人口順に百万都市を並べると、 ■横浜 377万 ■大阪 275万 ■名古屋 233万 ■札幌 197万 ■福岡 163万 ■川崎 154万 ■神戸 151万 ■京都 145万 ■さいたま 134万 ■広島 119万 ■仙台 110万 となります。ちなみに大阪、日本第二の大都市という印象の割に人口が少ないのは、以前も指摘したようにその面積が狭いからです。東大阪とか堺とか、これも大阪やんけ知らんけど、という地区まで含めると軽く400万を超えて来ます。 さてこの中で「制覇」を達成していない街が2023年の段階で二つありました。福岡と広島です。 ただし、どちらも訪問した事はありました。25年ほど前、当時の勤め先の友人の実家が佐世保にあったので、そこに同僚三人ほどで押し掛けたことがあったのです。この時は全員が馬鹿だったので飛行機と言う発想が無く、東京から新幹線で九州に向かったのでございまする。ただし私は入稿が残って居たので遅れての出発となり、初日は新幹線の終電で広島駅まで行き力尽きました。この時は駅前のサウナで宿泊しており、よって広島駅前周辺だけは訪問しているのです。ただし深夜と早朝だったのでほとんど何があったか覚えてませんが…。ついでに帰りに福岡観光をやる予定だったのですが、切符を手配した男が時間を間違えており、福岡駅の改札を出て駅前を見ただけで撤収となりました。よってどちらも駅前だけは訪問している、という事になります。 そして今回、残る二都市の内、どちらの訪問にするか悩んだのですが、航空券が安かった事、空港から近くて観光に便利そうなことで福岡をその訪問先に選出したのでした。東京から約900q、日本で最も南、同時に最も西にある大都会、九州の首都、あの福岡ですね。ちなみに福岡〜ソウルは約530qなので東京に行く場合の半分程度の距離なのは皆さん知ってると思いますが、実は広島からソウルも600q前後しかなく、福岡からと同じような感覚の距離だったりします。この点を広島出身の人間に聞くと逆に驚かれますが、そうなのよ。 ■福岡と言う街 でもって今回は時間があったのと、以前から行って見たかった場所が多数あったのとで、福岡市だけでなく、福岡県全体を歩き回る事になりました。訪問地を地図にするとこんな感じですね。ちなみに小倉の西まではかつての筑前国、そこから東は豊前国となります。江戸期以降だと福岡藩と小倉藩の一帯となり、いずれにせよ、文化的には本来別の一帯でした。 ちなみに福岡は半径100q圏内に別の100万都市が無い、独立型大都市の一つですが(他に札幌、仙台、広島が同じ)、北九州という大都市が直ぐ隣にあるから両者で大都市圏を構成してるんだよね、とずっと思っていました。が、2018年のインド訪問で上空を通過した時、あれ、この両都市は意外に遠くない?と気付き、距離にすると約50qほどあると知ったのです。まあそれでも東京から横須賀、成田空港、あるいは大阪から明石程度の距離だよな、通勤快速電車で50分程度だろう、と思っていたのでした。 ところがステキJR九州はこの間に新幹線か在来線特急か各駅停車しかない、という極めて極端な運行しかしておらず、普通の在来線だとなんと1時間半かかってしまいます。新幹線だとわずか15分ですが、料金は1.6倍です。その中間であるはずの在来線特急がテイルス号、否、ソニック号なんですが、こちらは料金1.45倍なのに41分と新幹線の三倍近い時間がかかってしまい、何の意味があるんだこれ、と思ったのでした。まあ帰宅後に確認したら、大分方面には新幹線が走って無いので、小倉から先が主要用途なのだ、と理解しましたが…。とりあえず通勤快速という概念が存在しない土地でした、九州(西鉄には無料特急があったけど)。 ついでにてっきりこの地球のどこかに北九州駅という名の駅があるもんだと思ってたんですが、そんなものは存在せず、北九州市の中心部に行くには小倉駅で降りる必要があります。この点も当初知らずに訪問したため、ちょっと慌てる事に。ちなみに福岡市も博多駅で、福岡駅は存在しません。これだけの規模の行政都市で、市と同じ名の駅が存在しないってのは珍しい気がしますよ。それって漢字を知らない人間しか住んで無いので合併後の市名を平仮名にしちゃった「さいたま」と同じようなもの、という事ですよ。いいんですか、福岡県の皆さん… そんな感じで、九州には九州の掟があるのだ、と学習した旅でもありました。 そして今回の訪問における最大の発見。福岡は日本の百万都市の中では極めて珍しい、高層建築物が全く無い街でした。写真は福岡空港に着陸する直前の風景で、画面中央上の方が天神地区、そのちょっと左が博多駅なんですが、その中心部一帯に全く高層ビルがありません。 なんだかインドか那覇みたいな印象の街だな、と当初感じたのですが、そうか高層建築が無いのだ、とすぐに気が付きました。 ちなみに海から見てもこれ。中央左手に見えてるのが博多ポートタワーで、その奥が博多駅、ちょっと右手が天神地区ですが御覧のように全く高層ビルがありません。 当然、陸上から見ても同じ。JR博多駅の屋上の展望広場から見た天神方向ですが、昭和30年代の東京のような低層都市なのです。 当初はなんだこれ、と驚いたのですが、間もなく市内上空をバンバン飛行機が飛ぶのを見て、そうか空港が近すぎて建物の高さ制限があるんだ、と気が付きました。実際、人口100万を超える都市、というか一般的な大都市でこんだけ市街地に近い場所に国際便が飛ぶ空港がある街を私は他に知りません。博多駅から空港ターミナルまで僅か3qほどですからね(国際線はもっと近くて2qほど)。あえて言うなら今は亡き香港 啓徳空港が市内中心部まで3q前後でしたが(旺角から空港ターミナルまでガッツがあれば歩けた)、それよりさらに近い。後はラスベガスという特殊例がありますが、あれは空港ターミナルがなぜかストリップの反対側だから近距離ではないし、そもそも大都市と言えるか、という疑問がありますからね…。 そういった意味では世界的に見ても珍しい構造の大都市であり、ちょっと中国返還前の香港みたいで楽しかったです。まあさすがに香港に比べるのは無理がありますが、それでもかなりの大都会だ、というのが今回の旅で驚いた点でもあります。東京、大阪は別格としても、名古屋あたりなら互角に戦えます。横浜など首都圏の各百万都市よりはよほど都会でしした。なるほど、西の都だ、というのが個人的な感想となります。 もう一つの驚きがラーメン密度でした。北のラーメン街、札幌に比べて圧勝、東京に比べても互角以上の感覚で街中にラーメン屋があふれておりました。そのラーメン屋を集めた商業施設も複数ありにけり。個人的には豚骨ラーメンのメソポタミア文明、長浜に行けたのが収穫でした。ここは安くて旨いラーメンが朝から深夜まで食べれるという桃源郷でした。ちょっと交通の便が悪い場所だったのですが、もし私は福岡在住なら週二回以上のペースで通うでしょう。少なくとも首都圏のラーメン屋しか知らぬ連中は、ラーメンを語る資格は無いと思いました。 |