さて、本日の最終目的地はここ。

埼玉県春日部市に位置する首都圏外郭放水路の地下水槽の見学で、この排水施設の建物裏から入ります。でもって失礼ながら今回の訪問まで春日部がどこにあるかも知りませんでした。てっきり奥秩父の方だろう程度に思っていたのですが、実は千葉県境との近所だと初めて知る。すなわち千葉県を日本本土から切り離して離島としている江戸川と利根川の分岐点のちょっと南側の対岸、埼玉県側に位置しておりました。ドーバー海峡で言ったらまさにドーバーの辺りか。

ついでに最寄り駅は東武の南桜井駅なんですが、その東武野田線がいつの間にやら東武アーバンパークラインという世界中の馬鹿が知恵を集めても思いつかないようなステキな名称になっていたと知る。というかあの沿線に都市型公園なんてねえじゃん。冠詞無しの単数形ってのもよく判らん。フフフフ、お馬鹿さんね、東武鉄道さん、とだけ思う。

そして南桜井駅からここまでのバスは数時間に一本のみなのでタクシーで来たのですが、駅前に客待ちの車は一台も居らず、産まれて初めてタクシーの配車アプリを使う羽目に。今回は携帯電話を持って行って正解でしたね(笑)。使ってみるとそれなりに便利でした。ただし配車料金が掛かるのかどうか微妙な記述でしたが、バッチリ取られました…。



東京湾の水辺旅行記でも書きましたが、家康が来る前の関東平野は洪水の名所であり、その徳川幕府も江戸の中心部の治水が精一杯、大正から昭和にかけて荒川放水路(現荒川)が造られるまで、東京東部はまだしょっちゅう水の底に沈んでました(実際は戦後に一帯の強制排水を始めるまで続いた)。ただしその後も、埼玉県北東部の江戸川上流一帯、特に古利根川、中川に加えて元荒川まで流れる春日部から南部一帯、草加、八潮市辺りまでは水害多発地帯として、この放水路が完成する2002年まで取り残されていました。

この巨大地下放水路はその対策として、一帯の川が増水したら、高台に位置する東の江戸川に強制排水してしまえという施設であり、国道16号線の地下を東西に走る形でに密かに建築されたものです。ただし実際は春日部駅の北から江戸川までの国道16号線沿い、約6qに渡って掘られただけの地下放水路であり、これで首都圏外郭放水路を名乗るのは浅草花屋敷が東京黒鼠王国を名乗るような詐欺という気もします。埼玉北東部放水路でいいと思うんですけどね。

それでも地下トンネルの直径は約10m、さらに深さは最深部で50m近くあります(水が川から流れ込む立坑は最大で71mのモノがある)。今回見学する最後の排水ポンプ手前の巨大貯水槽などと合わせて考えると、近未来にアンドロ梅田星人が攻めてきた場合、秘密基地として利用できる設計になっていると思われます。

実際、その制御室は上の写真のように最終決戦に向いてる構造で、多くの映画やテレビで指令室のロケ地に使われたそうな。この辺り、雨が降って周囲の川が増水しない限りあまり仕事が無いので、そういった使われ方もされてるとの事でした。ちなみにこの放水路が稼働するのは年平均7回前後で、やはり台風の時期が一番多いのだとか。



地下水槽の見学は予約制で、私は16時からの回を予約しておりました。今回参加したのは通常の見学ツアーで参加費1000円掛かります。さらに奥まで行けるツアーもあり、そちらはもっと高額です。この通常ツアーは毎回、30人くらいで行われるようですが、見学開始10分ほど前に排水ポンプ場横の駐車場に集合、簡単な説明を聞きます。
 


そこから横にある緑地を横切って密かに造られた地下水槽入り口に行きます。この奥に見えてる緑地の地下が巨大貯水槽なのです。
ここでさらにいくつかの注意事項の説明を受けたら、さあ突入です。



危険防止のため、階段からの撮影は禁止だったので、降りてから入り口方向を振り返る。この天井まで18m、地上から水槽の底までは22mの落差があり。ビルにすると5〜6階建て、それほどの高さでは無いのですが、それが長さ177m、幅78mの巨大な空間となっており、その威圧感はかなりのモノとなります。

個人的に思った最初の感想は、トート機関が造ったUボート ブンカーみたい、でした。

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