その門柱の先には「おんたき茶屋」という喫茶施設が。昭和の薫りが良くも悪くも感じられる施設です。おそらく「街道をゆく」の神戸編で司馬遼太郎さんが滝を見たというお茶屋さんでしょう。1982年の訪問ですが、もしかするとほぼ当時のままのような気もします。

ちなみに御滝で「おんたき」だと思ってたんですが、帰宅後確認したら、雄滝の関西訛りで「おんたき」なのだとか。布引の滝は複数に分かれており、一番落差のある雄滝、その次の夫婦滝、鼓ヶ滝(つつみがたき)、そして雌滝の四つが存在し、これから見に行くのはその中で最大の落差を誇る雄滝なのです。



ちなみに司馬さんは滝は茶屋から見るほかない、としてそこで帰ってしまいますが、実際は滝つぼの横にまで降りれる遊歩道があります。
この一帯は明治初期に神戸の居留地に居る外人さん相手の観光施設が設けられてるので、その時代から既にあったはず。
どうも司馬さんは歩くのが嫌いなので、見なかったことにして帰ってしまった説に100円。



でもって階段を下って行くとあれま、予想以上に見事な滝つぼが。ロープウェイから見て、意外に落差あるぞ、と思ってたんですが、これはなかなか見事です。



雄滝も落差で約45mあり、見事なもの。ただし水量が少なく、ほとんど白糸の滝だなと思う。
司馬さんの本を読んでも、昔の古写真を見ても大瀑布といっても過言ではない水量があったはずなのに。



下から見るとこんな感じ。見事な滝なんですが、いかんせん、水量が…
でもって雨が少ないとこんなモノなのかな、と思ったら、この後に見かけた案内板で、滝に流れ込む水量は例の五本松堰堤の取水場で調整してると知る。

あれは水道用ダムなので、大雨が降って溢れる恐れが無い限り、可能な限り放流はしたく無いわけです。が、水量が少ないからと言って全てを貯水池に貯め込んでしまうとこの滝が止まってしまいます。

よって必要最低限の水を放流して滝を維持してるのだとか。このため、夜間は放水を停止してるそうで、となると夜にはこの滝、消えてるのか。まあ、十分な降水があって、例の管理橋の下からバンバン水が溢れてる状態なら24時間十分な流量があるんでしょうが、そうでない限り、この水量が限界なんでしょうかね。
まあ日光の華厳の滝とかも水量調整はダムでやってますから、ここだけの事では無いのですけど。

ちなみに水道用の水ですから、放水してお終い、というワケには行かず、後で回収して浄水場に送り込んでいます。この辺りはまた次回。

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