結構な急斜面をガンガン登ってゆきまする。現地の案内板によると2011年完成となっており、あれ、そんなに新しいのと思ったらこれはどうも改修工事の終了年度らしい。実際は1991年から運行されていたようです。

ちなみに高低差は330m、運用距離は1460mだそうな。




振り返ると、神戸の街が一望できます。ちょっとガスが多いのですが、それでもいい眺めです。
…でもこれ、神戸空港まで見える、は誤報じゃない?水平線の辺り、全く見えないザマスよ。



途中の山腹には桜が。あんな場所にソメイヨシノを植えに行く物好きも居ないでしょうから、山桜でしょうか。良い眺めです。



登るにつれてドンドン眺めがよくなりワクワクしますね。左手前に見えてる高層ビルの辺りが新幹線の新神戸駅。

大阪、神戸は新幹線駅が在来線駅とは別の場所にあるんですが、新神戸の場合、JRの在来線による接続が全く無い、という珍しい駅となっています。百万都市の新幹線駅としては唯一の不便さであり、しかも1985年に地下鉄山手線が開通するまで、両者をつなぐ交通機関はバスだけだったようです。よくまあこんな場所に駅を造ったなと思います。まあ、三ノ宮駅から歩こうと思えば歩ける距離なんですけども。

その高層ビルの左側に海に向けて直線の緑道が続いてますが、これが生田川。
後に見る神戸の水源、布引の滝から繋がる川です。この直線ぶりから判るように流域は人工河川で、元はもっと右側、現在の神戸市中心部一帯を流れてました。当時は周辺より高い場所を流れていたため、氾濫が多く、これが外国人居留地からの抗議を招いた結果、現在の人工流路に付け替えられたのです。

でもって、その工事を請け負ったのが政府ではなく個人商人だった加納宗七さんでした。
この人は同じ紀州出身の陸奥宗光と深く繋がりがあり、明治政府との利権関係を利用して維新後の神戸で大儲けするのですが、あれ、この名前…と思ったあなた、その通りです。

坂本龍馬暗殺の容疑者、三浦休太郎を海援隊らの陸奥一味と一緒に襲撃した、あの加納さんですね。加納は商人の出身ながらこの襲撃に参加してます。いわゆる天満屋事件ですが、襲撃側も、三浦の警護に付いていた新選組の警護班も場慣れした一流どころの剣客が居なかったので暗闇の中の大乱闘になり、双方に死傷者を出しながら暗殺は失敗に終わりました。あのカミソリ陸奥も若い頃は無茶したんですよ。ただしこの事件で龍馬の仇として狙われた三浦は実際は暗殺とは無関係だったのですが…。



途中で右手に見えてくるのが今回の目的地の一つ、布引の滝です。市街地のすぐ横の滝という事でそれほど期待してなかったのですが、あれま、予想以上に本格的じゃん、と思う。そういえば、「街道をゆく」の中で司馬さんも驚いてたな、と思い出す。

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