でもってなかなか立派な駅舎だな、と思ったら、文化庁の登録有形文化財に指定されてるそうな。重文の一つ下の存在ですね。ホントに文化遺産だらけだな、この一帯。
この駅舎、1927(昭和2)年にケーブルカーが開業した時の駅舎がそのまま残っているようです。まあ、それはいいんですが、左の英語で歓迎してる木彫りが微妙に怖いとか、右手には一帯の放火魔が可愛くデフォルメされていたりとか、そこはかとない微妙感はあり。
ちなみに現状、ここは日本一営業距離の長いケーブルカーだそうで、総延長2025mあります。これは梅田駅から本町駅、神戸駅から三宮駅に匹敵する距離だよ、と現地解説にあったのですが、イマイチ距離感がつかめず。神戸から三宮はこの年の三月に歩いているんですが。
駅舎の中も良い雰囲気。ちょっと見て回ろうかな、と思ったんですが、運行は各時00分と30分の二本のみのため、急がないと次は30分後になってしまう事が判明、あわてて乗車する事に。
ついでに1993年に導入された現行車両は「オシャレなヨーロッパ風」と紹介されており、なんで比叡山でヨーロピアンなの、江戸っ子にチャイナドレス着せるような狂気だよな、と思ってたんですが、この時は例のアレ、ステキな電子ゲーム、戦国バサラの呪いが車両に掛けられており、そのキャラがデカデカとプリントされていたのでした…。霊峰比叡山でやるか、ここまで…。
さらについでに言えば、ケーブルカーですから二台ですれ違い運行されており、それぞれの車両に「縁」と「福」というこちらは比叡山らしい名前がついてます。でもってこれは運行開始当時の天台座主(比叡山で一番偉い人)による命名だとか。仏教関係者が命名した交通機関って日本、あるいは世界的に見ても珍しいのでは?
乗車時間は11分。判る人にだけ判る説明をすると新京成のごとく蛇行しまくる経路で、そりゃ日本最長にもなるよな、と思う。普通に考えてケーブルで引っ張り上げる以上、直線に敷設した方がいいはずなのに、と思う。でもって後で確認したら、どうもこれ、延暦寺と日吉大社の両方からあまり見えないようにしてね、と注文が付いた結果のようです。実際、車窓からの眺めはいいのに、どちらもほとんど見えませぬ。
途中杉林やトンネル、さらに琵琶湖がチラリと見える場所もあり、乗っていて楽しかったです。ついでに午後2時にしてはかなりの混雑で、人気あるのね比叡山と思う。
標高654mの山頂駅に無事到着。車内の案内放送も、戦国バサラのキャラの方でしたが、誰だか忘れました…。それなりにちゃんと説明してくれたので、その点は問題無かったですが、興味のない人には既に拷問だよな、と思いつつあり。まあ、悪気は無いんでしょうが…。
余談その1。この車両、空調&車内照明電源のためのパンタグラフがあるのですが路線の上に架線が無い。どうなってるのと思ったんですがどうも駅にだけ架線があり、そこで充電してるみたい。環境に配慮して、とありましたが意味が判らんので、雪や倒木対策でしょう。
ちなみに比叡山山頂には太平洋戦争の終戦時に特攻機、桜花の発射基地が建造されていたと今回の訪問で初めて知る。あの狂気の機体を地上から運用となると、橘花(これも事実上の特攻機である)と同じジェットエンジンを積んだ43型の運用が前提でしょうが、この機体最後まで完成しないで終わっています。基地だけ先に造って居たとは、これも初めて知りました。
当然、帰還を前提としないのでカタパルトで投げ出す計画の機体で、比叡山ではそれも完成、ケーブルカーは天井と壁を剥がして機材と機体の運搬用車両として使われた、との事。ホントにまあ、当時の日本は狂気としか言いようが無い世界です。連合国側がこの一帯を爆撃しなかったのが不幸中の幸いでしょう。あの馬鹿どもの跡を継いで、これだけの平和な民主国家を作り上げたことは(私が見て来た範囲では世界でもトップクラスだ)誇っていい気がしますよ。
といった感じで、今回の本編はここまで。
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