でもってこれもイギリス艦、HMS スタージョン(Sturgeon)。スタージョン級駆逐艦の一番艦です。
この博物館の展示は妙にイギリス艦が多いのですが、こういったマイナーなものが主でして、変な所でマニアックだなあ、と思います。

ちなみにこれ、1:48ですから同縮尺の飛行機模型と並べる事も可能。ここの駆逐艦模型のほとんどがこのスケールでして、艦船模型で1/48が標準ですか、と絶句する。おそらくこれらの1/48駆逐艦シリーズもFine art models製だと思われます。

1894年から1911年、第一次大戦直前まで現役だった駆逐艦で排水量1100トン前後、2本の魚雷発射管を持ってました。ちなみに解説板だとイギリス最初の魚雷搭載駆逐艦となってましたが誤りで、ロケット級の方が先ですね。
ちなみに海軍の「大艦巨砲主義」を打ち崩したのは空母の航空兵力というのは大筋で正しいのですが、実は魚雷による雷撃もそうでした。むしろ日本海軍の「砲撃屋」の皆さんにとって気になるのは魚雷の方で、彼らはこの点はかなり柔軟に対応してました。まあ、結局どちらも第二次大戦中の実戦ではほとんど役に立たなかったんですけどね…

ついでに帰国後、確認して見た範囲ではこの船、写真は残って無いようなんですが、この密度と完成度から、単に想像で造ったとも思われず、どっかから図面でも探し出して来たんでしょうか。



なにしろこの情報密度ですぜ。

艦首にあるのはQ.F. 12-pdr.砲、3インチ(76.2mm)口径の艦載砲ですが、この時代の駆逐艦に弾薬エレベーターなんて無いので、砲台の台座の横に砲弾が立ててある、という芸の細かさ。ここまでくると愛を超えて一種の狂気を感じますね。

ついでに砲台の横にある箱型のものは海図台に見えますが、こんな所に海図を置くのか、という気も。でもこれだけの模型を仕上げちゃう人がそうだと言ってるんだから、そういうものなのかもしれません。



その後も第一大戦に至るまでのイギリスのマイナー艦がいろいろ展示されていたのですが、全てを紹介してたら終わらないので、とりあえず第一次大戦期に建造されたVクラス駆逐艦の一つ、HMS ヴェガを紹介。ちなみに中国語名はそのまんま織女(織姫)星ですな。

1917年に就役した排水量1300トンの駆逐艦ですが第二次大戦でも輸送船団護衛などに投入され、終戦まで運用されていました。



なにせ1/48ですからこの情報密度。いやもう、見ていて飽きません。
285型 (Type 285) 対空射撃管制レーダーが艦橋の上に搭載されているのでおそらく二回目の改修が終わった1942年11月以降の形状を再現してると思われます。



こちらはイギリスのW級駆逐艦、HMSウォーカー(Walker)。こんな無名な船まで展示しちゃうなんて、どんだけイギリスの駆逐艦が好きなのここの人、という感じはします(笑)。
排水量約1100トン、この艦も第一次大戦末期の1918年に就役、その後、第二次大戦まで戦い抜いてます。

ちなみに中国語名は華克號。なんで歩く人が華に克つになるのか、という感じですが、これは英語のWalkerの音を拾った中国語です。というか、中国の英語の名詞翻訳、意訳だったり、そのまま近い音を拾って漢字を当てたものだったり、統一性がないなあ。どっちかに統一した方がいい気がしますけど、余計なお世話ですかね。


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