でもって、お次はイギリスのHMSイーグル。近代空母の原型になったと言っていいであろう艦です。
この辺りの「判ってる」感じの品ぞろえが、この博物館のスゴイ所で、収蔵品の担当者は只者ではないなあ、と思ったり。参考までにこちらの模型はより大型な1/128で、エセックス級とは縮尺が異なりますから、制作者は不明としておきます。
ちなみにイーグルは中国語だと老鷹號。直訳すると古参の鷹、といった所ですが、どうも理由は不明なれど、中国度では英語のEagleには老鷹という字を当ててるようです。なのでF-15も中国語だとF-15老鷹となります。…なんかカッコいいな。
第一次大戦中にアルゼンチンに売却する戦艦としてアームストロング・ホイットワース社で建造が開始されたものの、大戦末期にイギリス海軍に買い取られ、紆余曲折の後に空母に改造されたのがこのHMSイーグルです。単艦であり、同型艦はありません。
船体の上を頭からケツまで貫く全飛行甲板、船体横に置かれた大型の島型艦橋、甲板の上に出て来る格納庫からのエレベーターと、後の近代空母の母体となった設計を持ちます。
ただし、その設計を土台にした新型艦、HMSハーミーズがほぼ同時に完成、就役したため、影の薄い船になってしまいました。
HMSイーグルは第一次大戦後の1924年に就役、後に第二次大戦に参戦しています。最後は1942年夏のマルタ島補給戦でドイツの潜水艦、U-ボート
U-73から四発の魚雷を撃ち込まれて沈みました。
ちなみにこの博物館、妙にイギリス艦が好きなようで、以後もいろいろ出て来ます。
横から見ると、戦艦として造られた船体の上に飛行用の上部構造を乗っけた空母、というのがなんとなく判りますかね。
日本の赤城(巡洋艦からの転用)や加賀(戦艦からの転用)も似たような生い立ちと構造を持つ空母ですが。
飛行甲板の先端が、艦首部に合わせて細くなってるのがこの世代のイギリスの空母の特徴。
後から建造されながらほぼ同時に完成した事実上世界初の正規空母(後から設計された日本の鳳翔の方が完成は早かったが、その設計思想は古く近代空母の始祖とは言い難い)HMSハーミーズもこういった先が絞り込まれた飛行甲板を持ちます。
余談ながら、その世界初の空母HMSハーミーズが1942年のインド洋で、当時世界最強の空母機動部隊だった日本海軍の第一航空艦隊の攻撃で沈められたのは、なんとなく運命のようなものを感じますね。世界初の正規空母は、世界で初めて空母艦隊戦で沈んだ船でもあったのです。ただしこの時、HMSハーミーズは艦載機を全て降ろした丸腰で(日本の機動部隊から逃げて退避中だった)、艦隊戦というよりは一方的なタコ殴りでした。両者が艦載機を放っての壮絶な空母艦隊戦は、その直後に発生する日米の珊瑚海海戦からとなります。
そしてこの模型もこの密度。
手前の複葉機、第二次大戦で活躍した雷撃機ソードフィッシュも1/128のプラモデルなんて聞いたこと無いですから自家製なんでしょうか。
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