とういうわけで今回は長栄海事博物館の目玉と私が勝手に認定した軍艦模型の展示です。
かつて東京 晴海の船の科学館にあった大型軍艦模型を知ってる人なら、あのレベルの船が何十隻もある、と言えばそのすごさが判るでしょうか。ちなみに艦船模型なのに1/72とか1/48なんがゴロゴロしており、俺の家じゃ組む場所するらねえ、という世界です。その結果、ああ、しばらくここに住んでみたい、という位の世界が展開してます。他にお客さんゼロの状態で(笑)。

ちなみにそんだけお客さんがいないと係員の人もヒマらしく、たまに巡回でまわっているオジサンが、話しかけて来ます(笑)。あ、中国語話せないアルヨ、と答えたら、あっちもブロークンな英語で、日本人アルカ、と聞いて来るので、そうアルヨ、と応えたところ、大喜びで後で見る大和や伊400の前に連れていかれ、どうだ、スゴイだろう、と説明される。

いや、親切心なのは判るんですが、あと1時間足らずで全部見学しなきゃなのアルヨ…と思うも、とっても嬉しそうなオジサンを振り切れず、しばらく時間を浪費してしまう。…といった障害を乗り越えながらほぼ全ての模型を撮影してきたのですが、さすがに全ての紹介は無理なので、興味深いものだけを載せて行きます。それでもエライ事になるんですが。

といった感じで行って見ましょうか。



入り口すぐ横にあるのは大戦期のエセックス級空母、CV-11 USSイントレピッド。今ではニューヨークで博物館になってる艦です。
Intrepid は大胆な、豪放な、といった意味ですが、中国語名だと無畏號。直訳するなら我に恐れ無しといった意味。その翻訳はちょっと行き過ぎではないか、という気もしますが。ついでに中国語では艦名の後に必ず號を付けるようです。

ちなみにこの博物館、アメリカの大量生産かつ無敵(一隻も沈んでない)の正規空母エセックス級が大好きなのか、これとは別に一番艦のUSS エセックスもあり。

ただし展示の解説では軽空母(Light aircraft Carrier)になっていたり、USSイントレピッドはレイテで大和と武蔵を同時に沈めちゃったとされていたり、そもそも英語の解説だと瑞鶴だけでなく大和と武蔵が空母になってたり(中国語解説では空母は瑞鶴のみで正しい)、そういった部分は残念を通り越してむしろ見事なんですが、とりえあず模型は文句なしに素晴らしいので、そっちに集中しましょう、はい。

この模型は1/192なので、おそらくアメリカのミシガン州にある模型製造会社、Fine Art Models が販売してるものでしょう。他の1/192の模型も同様なはずです。ここで展示されてる縮尺1/48の模型も同社の仕事じゃないかと思いますが、こちらは断言はできませぬ。あそこは完成品専門の会社で、ほぼ全ての商品が「お値段はお問合せよろしくね」という世界でございます。このサイズだとおどらく1万2千ドル以上のはずですから、どんだけ金を使ったんだろうと思います、この博物館。心底うらやましい。



実はFine Art Models の作例と思われるのを見るのは初めてなんですが、よくできてます。
艦橋上のアンテナ周りとか、煙突後ろの対空用射撃管制装置とか、もはや制作者はパラノイアである、と結論するしかない世界。あの手すりとかを造るだけで、私なんかは心が折れそうですが。



でもってこっちが少し離れた場所に展示されてるCV‐9 USS エセックス。

終戦までに17隻も“大量生産”された正規空母軍団のエセックス級の一番艦です(さらに終戦後も生産は続く)。エセックス級の大量完成は1943年に入ってからですが、同年の秋以降は次々と戦線に投入され、日本軍の息の根を止める最大の力となりました。

ちなみに逆に言えば1943年秋の段階までに、米軍は空母の数で決して優位に立っておらず、戦艦と併せても日本側に比べて劣勢、よくて互角でした。1942年6月のミッドウェイ海戦で日本の正規空母が4隻沈められたから日米の立場逆転、と思われてる事が多いですが、事実ではなく、以後、1年以上に渡り、艦船兵力に関しては最低でも互角、実際は日本側がやや有利だったと思っていいです。
その割に日本海軍がパッとしない戦果に終始し続けたのは、単に戦争が下手だったからであり、物量の問題ではありません。この辺りは調べれば調べるほど、なんだこの素人集団は、と悲しくなります。



こちらの甲板上もこんな感じ。
どちらも艦載機はアヴェンジャーばかりなので、先の展示と併せて、シリコンとかで型を造って大量生産したのかな。
しかし、これ、見れば見るほど見事で、耳元で「今ならちょっとお安く百万円でお譲りしますよ」とかささやかれたら速攻で銀行に貯金おろしに走りかねん、という感じでした。
まあ、狭い我が家には置く場所が無いんですけども。そんだけ巨大なんですけども。


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