アメリカ海軍最古の現役艦、USSコンスティチューション。2013年のアメリカ旅行記で見た船ですね。1797年進水で、事実上19世紀世代の船ですから、かなり近代的な印象です。
ちなみにこの模型、なぜか船体下部の外板が無い、肋材剥き出しの形になってました。これで見ると中はガランドウですが、実際は最下層の船倉があり、弾薬庫になっていたはず。



こんな模型も。18世紀のフランス海軍における74門砲搭載軍艦の断面図。

一番下は火薬庫なんですが、石が敷き詰めてあるのは転がり防止用ですかね。船底で重量物が暴れるとバランスが悪くなるでしょうから。
上部の三段分の甲板にはすべて砲があり、なるほど74門もあると大変だなあ、という感じです。
注目は外板の厚さで、ほぼ同時代の船、あのネルソンがトラファルガーで乗ったHMSヴィクトリーは樫材で厚さ60pだったとされますから、この船でもかなり分厚いものになってます。

ちなみにこれ、セミモノコック船体なので外板は船体強度を支えるため、全ての面で同じ厚さになっており、装甲として一部を分厚くするといった工夫はありませぬ。トラファルガー海戦時代の艦船砲は近距離だと1m厚の樫材をぶち抜いたそうなので、これでは防ぎきれず、この時代の海戦は砲撃側が有利だった事になります。

さらにちなみによく見ると船体中央に全階ぶち抜きの細い縦長の部屋が見えてますが、これはメインマストの土台部分。この時代の大型軍艦のマストは全長50mという高層ビル並みの高さを持ち、こういった形で艦底までぶち抜きで固定されてました。まあこれが倒れたらエライ事になるな、という構造でして、帆船で戦争はやりたくないなあ、と個人的には思います。



欧米式の木造船の構造がよく判る有難い模型。

日本や中国の船が四面の壁を組み合わせた箱構造なのに対して、欧米の船は人間の上半身に似た骨格構造を持ちます。
まず艦底に竜骨(Keel)と呼ばれる船の背骨となる柱材を置きます。そこに人間の肋骨のような肋材(Rib)を左右に固定、これに外板を打ち付けて完成となるわけです(基本構造。実際はもっといろいろな補助構造材が入る)。この模型で船体横に見えてるのが肋材で、これが艦底を前後に貫く柱、竜骨に接続されてます。この上から外板を打ち付け、この竜骨と肋材、そして外板で船体強度を支えるセミモノコック構造となるわけです。

竜骨と肋材を使ったセミモノコック構造は箱型船に比べて船体の強度が高く、さらに艦首が細く絞り込まれるので高速が出ました。すなわち波が荒い大洋を超えた遠距離の航海に向きます。この船体構造がヨーロッパの国々の世界制覇に貢献した面は小さく無いでしょう。



窓から東門が見えました。ちょっと見づらいですが、奥には総督府もありにけり。



なんだか鉄道模型のジオラマ風の展示も。20世紀初頭のヨーロッパにおける造船ドッグの再現らしいです。
 


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