ここからはF-1以外のレース用車両の展示を紹介して、この長い連載を終わりにしたいと思います。と言っても、こちらに関してはあまり詳しくないので、さらに手抜きの解説になりますが。
S800のレース仕様車。
S800の特徴だったボンネット上の凸部が無いので、後で確認するまでS600だと思ってました。
前にも書いたようにホンダはF-1ドライバー ハルムの運転で1964年西ドイツの500q耐久レースにS600で出場しクラス優勝を収め、初めて四輪の海外レース勝利を飾りました。なのでその車かと思ったのですが、実はS800、しかも国内レース仕様でした。ちなみにS800も1968年に同耐久レースに出場し、これもクラス優勝を成し遂げてます。
展示の車は1968年の鈴鹿12時間レースのGT-Iクラス優勝、総合でも3位に入った車とされてました。レプリカのような気もしますが、詳細は不明。ちなみにエンジンに手を入れて通常70馬力のところを、1万回転まで回して100馬力を出していたそうな。そんなエンジンで12時間走り切ったのですから、当時のホンダエンジンの信頼性は大したものだと思います。
1987年の全日本ツーリングカー選手権(JTC) クラス3(1600t以下)に参戦していた無限シビック。
市販車を基にした車で戦われる(中身はほぼ別物だけど)ツーリングカー選手権はF-1ブームとほぼ並行して、1980年代末から日本で大人気のレースでした(ただしその後、徐々に参加が減り始め1998年でツーリングカー選手権は廃止となる)。
私はあまり興味が無かったのでよくは知らんのですが、1990年に登場した日産のスカイラインGT-R、いわゆる32型GT-Rがとにかく圧勝していたレースという印象があります。たしか最後はほとんどのチームがGTRで出走、事実上のGTRによるレースとなっていたと記憶します。
ただし当時のツーリングカーレースなので排気量ごとにいくつかのクラスに分かれていました。このクラス別レース形式は1993年まで続きます。その最小クラス、1600t以下のクラス3に参戦していたのがシビックです。正直、ほとんど興味が無かったので、総合優勝(全クラスの車の中で1位)を獲りまくったGTR以外の印象が無いんですが、クラス3で1987年から7年連続でチャンプを獲ったのがシビックだそうで、その最初のタイトルを獲ったのがこの車なのだとか。
こちらは1996年の全日本ツーリングカー選手権(JTCC)で年間チャンピオンを獲ったアコード。
略称にCが一個多いのは誤記ではなく、1994年から規定(レギュレーション)が変更になった結果です。JTCと違って排気量ごとのクラス分けが無くなり、6気筒以下で2000tのみの市販車となったのがこのJTCCCレースでした。ただし排気量を見れば判るように人気のGTRは出場しなくなってしまい、この辺りから人気は低迷、4年後の1998年までで全日本ツーリングカー選手権は消滅となってしまいます。
ついでにまるで別のレースになりながらも日本語での開催名称は全日本ツーリングカー選手権のままだったんですが、略称は1993年までがJTC、1994年からがJTCCになってます。…いろいろ頭悪いですね、どうも。ちなみにクラス分けされていた1993年以前をグループA、2000tに統一された後をクラス2と呼ぶこともあります。
このレースにホンダは引き続きシビックで参戦するのですが、全く勝てませんでした。そこにプロジェクトリーダーとして投入されたのが、第二期F-1の当初、川本さん世代のエンジン設計を手伝った北元さんでした(1988年のF-1エンジン設計に関わっていた説もあるが未確認)。
彼は車をこのアコードに変更、さらにホンダの古い知り合いでレース界の古狸、例のトーラナックを日本に呼んで設計のアドバイザーに据えます。トーラナックはF-2のラルトホンダで圧勝しF3000になってからも参戦を続けていましたが、1988年にチームを売り払い当時はすでに引退していたのを引っ張り出したのです(ホンダの絡むレーシングドライバースクールなどを経営してたらしい)。
なのでこの人、1966年のF-2エンジンから30年以上に渡ってホンダに関わり続けた、という不思議な人となります。久米さん、川本さんとかには決して好かれて無かったようなのですけどね(笑)。
この結果、1996年はこのアコードでドライバーズチャンプを獲るのですが、チーム優勝はトヨタに奪われてしまってます。最終的に翌1997年に両チャンプを獲得しますが、この年限りでホンダは人気が低迷しつつあった全日本ツーリングカー選手権から撤退、最終年の1998年は出走していません。
ホンダが1995年のル・マン24時間に投入したNSX
GT2。
ドライバーは全員日本人で、GT-2クラス優勝、総合8位を記録してるそうな。 耐久レースはクラス分けがややこしい上に、見ていても誰が勝ってるのかさっぱり判らないので私は興味がなく、それ以上はよく知りませぬ。
こちらは全日本GT選手権に投入されていたNSX。手前の青いのが1997年型、奥のが2000年型で、2000年にはチーム、ドライバーの両タイトルを獲っています。
全日本GT選手権は先に見た全日本ツーリングカー選手権とは別に1994年から開催されてるレース(一応1993年から開催はされていたが参加が少なく実質1994年スタートとなる)。基本的には耐久レース系のもので、日本独自のレースジャンルでした。後に2005年からはFIA管轄の国際レース、SUPER
GT に発展しています。
このレース、速い車には制約重量(ハンディ)としてオモリを載せさせたりするという、競馬みたいなルールがあり、やらせのデッドヒートじゃねえかと個人的にはこれまた興味がなく、よって詳しくは知りませぬ。私は努力した人間が後で馬鹿を見るシステムは心底嫌いです。
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