■最後は操縦性を確認だ
ロッキードNT-33A。
F-80から派生したベストセラー練習機、T-33は冷戦の館にあったんですが、
すでにお断りしたように写真撮って来るのを忘れたため、今回の記事では初登場となるT-33。
このNT-33Aはちょっと変わった試験機で、コクピットの計器類、操縦桿などを丸ごと交換でき、
(恐らく後部座席だけだと思うが確証は無し)
新型機のコクピットを再現することが可能でした。
これによって新型機のコクピットが操縦しやすいか、計器類は見やすいか、などの試験ができた上に、
実際の操縦も可能で、なるべく実機に合わせて方向舵やエルロン(補助翼)の効きも調整できたとか。
これによってコクピットレイアウトの細かい調整ができ、実機を造ってから大失敗という悲劇を避けていたようです。
ちなみに改造も運用も民間の会社がやっていたらしいのですが、類似の機体が他にないため、
1950年代から1997年まで、40年以近く現役だったとのこと。
現在はコンピュータによるシミュレータが主流ですから、こういった機体は今後は登場しないでしょうね。
ゼネラルダイナミクス NF-16A AFTI。
AFTIというのはAdvanced Fighter
Technology
Integration、統合先進戦闘機技術の略で、
こちらはフライ バイ ワイアを含んだ新しい電子操縦装置などの試験に使われた機体です。
さらにはレーダーと連動して地上障害物を避けるような自動操縦装置、
音声認識による火器管制装置(FCS)などの開発にも使われたのだとか。
これまた他に代用機が無かったこともあり、1978年から2000年まで現役だったそうな。
F-16のA型としては、アメリカ空軍の中でかなり長期に渡って使われていた機体の一つかも知れません。
ファアチャイルドC-119J ボックスカー/サテライト キャッチャー。
1947年に初飛行した戦後世代の双発輸送機ですね。
実験機の館に展示されてましたが、これ、実は宇宙部門の展示です。
なんでこれが宇宙?というと、世界で初めてプロペラで月まで飛んだから…、とかではなく、
宇宙編で散々登場した偵察衛星のフィルムカプセル回収機だからです。
C-119のJ型はその任務に特化した機体となっています。
機首のアンテナは、大気圏に突入後、パラシュートで落下中のカプセルを探知するためのモノで、
この展示機は1960年8月に、世界初の衛星からの投下カプセル回収に成功した機体だとか。
ボックスカーは双支柱構造、ツインブーム(Twin-boom)の輸送機です。
これによって尾翼と胴体を切り離し、胴体後部のドアが左右に開くことで
荷物の積み下ろしを容易にした機体でした。
(貨物をパラシュート降下させる時などはドアを取り払って飛行もできた)
これによって大型荷物を分解せずに搭載出来たため、
トラックやジープをそのまま搭載できる輸送機となってます。
J型ではこのドアが上に開くようになっており、その隙間から左右二本の棹が下に伸ばせました。
棹の間にワイア張り、これにパラシュートを引っ掻けて回収するのです。
余談ですが、この機体の本格デビューは朝鮮戦争で、
この機体が大量にパラシュート降下をやる写真が日本でも幾度か紹介されてます。
それがどうした、というと「ルパン三世 カリオストロの城」のラストで、
ICPOのパラシュート部隊(どんな部隊だよ…)を降下させてるのがこの機体で、
クラリスとルパンがこれを眺めるあの構図は当時の報道写真が元ネタにもなっています。
余談終わり。
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