■宇宙からデバガメだ
ここからはアメリカ空軍の十八番、宇宙からのデバガメ行為を担当する偵察衛星を見て行きます。
まずは後ろの長細い緑の物体が偵察衛星 ヘクサゴン KH-9。
これは2011年ごろまで機密指定の対象だったそうで、意外に先端技術の一つみたいです。
手前のキンキラキンもその一部なんですが、こちらはまた後で。
1971年から86年にかけて運用されたアメリカ空軍最大の偵察衛星で、
ステレオ(立体)カメラまで搭載してました。
ステレオの方が見て楽しいから、ではなく立体で見て構造物の高さなどを知るためです。
約15年に渡り20機が製造されたものの1機が打ち上げに失敗したため、
最終的には19機が運用されていたとされます。
重い上に地表の精密な偵察を狙って低空飛行したため、最大でも1年と持たず、
平均的な運用日数はわずか124日、その後は大気圏内に落下してしまうので、数は必要だったのでしょう。
(高度が低いほど希薄な大気の影響を受けやすい。希薄な大気とはいえ空気抵抗で僅かずつ減速するため
地球の重力に対抗するのに十分な遠心力を得る速度が保てず、やがて落下が始まる)
ちなみに最低高度は144qで、全長で約16m、重量で11トンを
超えるれだけ大型の衛星を飛ばすにはかなりの低高度です。
無茶な運用やってるなあ、という部分ですね。
同時に、これだけの巨大な衛星を打ち上げてしまうタイタンロケットは改めてすごいな、と思う所。
ちなみにほとんどの打ち上げは最新のタイタンIV(4)ではなくタイタン IIIで行っていたようです。
そのKH-9はフィルム撮影なので、回収のためのカプセルが積まれてました。
それがこれ。4基搭載されており、一定の量のフィルムが貯まると地球に投下していたみたいです。
ちなみに追加カメラを搭載してる場合、5番目の小型カプセルが追加されたとの事。
左端が耐熱カバー、真ん中が本体だと思われますが、詳細は不明。
よく見ると小型ロケットのようなものもあったんですが、おそらく減速用で、
衛星から分離した後、これで速度を落として遠心力を落とし、地球に落下したのでしょう。
で、大気圏突入後はパラシュートで減速、例によって飛行機によって空中で回収されてました。
この衛星では主にハワイ沖で空中回収作業をやっていたみたいですね。
これは専用のフックをつけた輸送機などでパラシュートで落下してくるカプセルを回収してました。
ガンビット(GAMBIT)
1 KH-7偵察衛星。
ガンビットも日本語にしづらい単語ですが、十分先読みした上での行動開始、といった意味の名詞です。
チェスやトランプゲームで、相手に何かを仕掛けるときの最初の動きもガンビットと言うので、
あえて日本語にするなら先読み先手衛星、みたいな所でしょうか。
1963年から67年までの4年間で36機が投入された(さらに2機が打ち上げ失敗してる)
という事から判るように、これも低高度で運用されていた使い捨て偵察衛星で、
最低高度はわずか108q、X-15ならすぐ下まで飛んで行ける距離となってました。
ついでに最大でも270qとかなり低い高度での運用が前提だったとされます。
ちなみに前回チョコット紹介したアメリカ初の偵察衛星、コロナの後継機であり、
アメリカ空軍の偵察衛星としては最初にステレオカメラと高解像度の大型カメラを搭載し、
これまた落下式カプセルで回収となってます。左手にあるのがそれですね。
こちらは一個しかないので、任務終了時にまとめて投下となるんでしょう。
ついでにこの衛星でも回収はハワイ沖だったとか。
ちなみに打ち上げはアジェナ上段ロケット+アトラスロケットの組み合わせだっととのこと。
ガンビット3 KH-8。
ガンビットシリーズ偵察衛星の発展型で、上のKH-1に比べるとかなり長い胴体になってます。
運用は1966年から1984年となっており、上のKH-1と一部重なる上に、
ガンビット2と、KH-2から7まではどこに行ったんだという感じですが、
まあ調べるほどの事でもないのでいいですね(手抜き)。
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