■超音速とか高高度とか



ノースアメリカンXB-70A ヴァルキリー。
1964年9月に初飛行したマッハ3で敵地に突入する(予定(笑)だった)超音速戦略核爆撃機であり、
キチガイ将軍カーチス・ルメイ率いる戦略爆撃司令部(SAC)の執念と誇大妄想の終着点でした。

この機体に関してはこちらで解説したので、詳しくはそっちを見といてください。
最終的には計画はキャンセルとなって超音速大型試験機としてNASAが運用を引き継ぐのですが、
ここの展示に当たってはNASAのロゴ、消されてますね(笑)。
展示の機体は2機造られた内の1号機で、本来は失敗作で要らない子、とされてたのが、
2号機が事故で失われた後、数々の改造を行って試験飛行に使われてました。

なにせ巨大な機体で、以前の展示では全体像が全く掴めなかったのですが、
この新しいハンガーでは全体をはっきり見る事が可能となりました。
いい感じですね。



でもってここからはちょっと変化球、高高度記録に挑んだ気球のゴンドラ部たち。

最初はマンハイ計画のゴンドラ。
Man High という妙な英語は高人間、とでも訳せばいいんでしょうかね。
これを気球の下にぶら下げて、最大で10万フィート(約3万50m)辺りの高高度まで飛んで行ってました。
1957年から58年にかけ、当時計画中だった宇宙飛行にそなえて、可能な限り高高度まで飛んで行き、
人間の体に与える影響を調べよう、というのがこの計画だったようです。
3回の飛行実験が行われ、3回とも、このゴンドラが使われたとの事。 
この計画は、その後のアメリカの宇宙船の設計、
特に生命維持装置回りなどに多くの情報をもたらしたらしいです。

ちなみに当時の高高度記録(ソ連の宇宙飛行士ガガーリンもX-15もまだ飛んでないので世界新記録)
101516フィート(約3万942m)を達成した1957年8月の飛行は行って帰って来るだけで32時間、
1泊2日かかったそうで、この狭いカプセルでそれは罰ゲームに近い気も…



こちらはイクセルシア(Excelsior)計画のゴンドラ。
Excelsiorは、もっと上に!さらなる向上を!といった意味のラテン語で、
どうもニューヨーク州の標語でもあったようです。

こちらは高高度でも単に上昇するだけでなく、そこからスカイダイビングしちゃおう、
という野心的というか、なんでまた、という感じの計画でした。
展示のゴンドラの横にいるのは、まさにこれから落下しようとする勇者です。
これも単なるもの好きでは無く、X-15やXB-70のような高高度飛行機を空軍は運用しつつあったため、
その脱出装置の必要条件を確認するための実験計画だったとされます。

飛行実験は1959年から60年に渡り3度のダイブが行われ、
最大落下高度は102800フィート(約3万1333m)からのダイブで、地上まで13分近くかかって無事着陸しました。
これは2012年に破られるまで世界最高度の記録でした。
(ただし軍による非公式記録だった。さらに2014年にもさらに記録は更新されてる)

といった辺りで今回の本編はこれまでとしましょう。
次回からはXプレーンズを始めとする実験機編に入って行きますぜ。


NEXT