■微妙な宇宙シャトル



宇宙のシャトルことスペースシャトル軌道船の展示。
大型模型のように見えますが、これはSpace Shuttle Crew Compartment Trainer 1、
すなわちスペースシャトルの乗組員が地上訓練で使った実物大訓練装置、
スペースシャトル乗員区画訓練装置 1号なのだとか。
NASAでは3機が造られたそうで、その1号機がこれだそうな。
なのでサイズも正確に同じになっているほか、細部も意外に細かく造られてますね。
1981年の最初のコロンビア号の打ち上げから最後の飛行に至るまでずっと使用されたものだとか。



ちなみに裏側から見ると、公園の遊具のように見えなく無くも無く…
本来はこちら側もキチンと造ってあったんですが、展示にあたり撤去されたようです。



が、展示は興味深いもので、スミソニアンでも見れなかった軌道船のコクピットが見学できます。
この位置からガラス越しの見学ですけどね。ハッキリ言って邪魔なので、そのマネキン、どかしてほしいですけどね。
パイロット席は凄まじいまでのスイッチ類の密度なんですが、その後部は妙に殺風景なのがちょっと変な感じ。
ついでに実際はこの後ろに残りの搭乗員の座席があるはずですが展示では外されてます。

意外にグラスコクピットで、計器類のモニター表示化が進んでおり、
実際の機体の進化に合わせてこの辺りは変更されたのでしょう。
座席がショボいのも驚きで、無重力で飛行する宇宙空間ではこれで十分でしょうが、
発射時とかは垂直方向に結構な荷重(G)がかかるはずなんですけども…。
強度的に大丈夫なのかと思ったりしますが、実際これで飛んでたなら何とかなるんでしょうね。



でもってなぜかここに展示されてた実験観測衛星 P80-1.。
スペースシャトルで打ち上げたから、ここでの展示?
愛称はTeal ruby だそうですが、直訳するとルビー鴨となり、意味不明…。

1980年代に開発された赤外線観測衛星で、こちらは北極越えで飛んで来るであろうソ連の爆撃機を探知するためのものでした。
左端の白い筒部に光学望遠鏡が入っており、これを使って赤外線探知をやるらしいです。
どうもこの装置の名前がルビーらしいですが、詳細はよく判らず。

極点観測に静止衛星を使うのはかなり面倒なはずですが、どうやって運用するつもりだったのか、これまたよく判らず。
(地球の重力に負けない遠心力を得る静止軌道は限られており、基本は赤道上付近にだけある)
静止軌道では無く、低高度を飛ぶ複数の衛星で24時間監視をやるつもりだったんでしょうかね…。

1980年代にスペースシャトルがやっていたいくつかの軍事飛行の中で打ち上げられたものの、
その後、あまりに高くつく運用費から計画は難航し、さらにスペースシャトル チャレンジャーの打ち上げ事故で
シャトルの運用が一時停止してしまった事から、最終的に計画はキャンセルとなりました。

すでに打ち上げられていた衛星は、その搭載機材を使用して、各種調査に使われたり、
宇宙空間における機材の耐用年数のデータ取りに貢献した、との事ですが詳細は不明。
さらに展示の衛星の正体も不明ですが、チャレンジャー事故がなければ
打ち上げられる予定だったモノかもしれません。



こちらは後部の実験室だか貨物室だかの訓練部。
こちらで活動するのは無重力状態になってからのはずですが、一応、椅子があるんですね。


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