■発射は冷静に
でもってこちらが近代的なICBMの代表的な核弾頭部、
先に見たピースキーパー ミサイルで使用されたAVCO Mk-21。
あの巨大なミサイルは、この小さな弾頭部をソ連本土(とおそらく中国本土)に落下させるためのものなのです。
これが複数標的用独立型多弾頭運搬部(Multiple Independently-targetable Reentry
Vehicle/MIRV)で、
このMIRVでは10個の独立した核弾頭部を別々の目標へと落下させる事が可能でした。
宇宙空間ですでにこのカバーが外れた状態になり、核弾頭はそれぞれ自分の目標に向けた弾道に乗ります。
黒いのは大気圏突入後の熱対策(衝撃波背後熱)用の塗料で、
それぞれが単体で地上まで到達できるようになってました。
音速の何倍もの高速で空から落下してくる弾道ミサイルの弾頭部はただでさえ防御が難しいのに、
小型で(レーダーで捉えにくい)多数の弾頭をばら撒く事で、その迎撃を一層困難にしています。
同時に一発のミサイルで10の目標を同時に攻撃できますから、極めて効率のいい兵器となっているのです。
ただし戦略兵器削減条約(START II)による削減対象となっており、先に書いたように
この弾頭はピースメーカーミサイルと共に既に引退済みです。
ただしSTART
II は結局、最後まで完全に批准されておらず、このためアメリカがMIRVを完全に廃止したのか、
今でも一部は運用してるのか、私はよく知りませぬ。
こちらはミニットマン ミサイル発射装置の訓練装置。
実際の発射基地と同じ機材を使って、発射手順を訓練するためのものです。
もちろん発射管制用の部屋だけで、ミサイルサイロは付いてません。
1966年から1991年まで訓練に使用されていたものらしいです。
入り口の鍵も本物と同じものが使用されており、そう簡単には発射管制室には入れない、というのが見て取れます。
ただしこの厚さの扉なら、12.7oでぶち抜けてしまうんじゃないの、と思うんですが、
実際の基地の扉はもうちょっと分厚いのであろう、と信じる事にします、はい。
中はこんな感じ。
ミサイル発射、ポチっとな、という感じに簡単に打ち出せるもので無いのが見て取れます。
手前のタイプライター式入力装置とか、椅子に座った人が使ってるのが
ダイヤル式の黒電話だったりとか、微妙に時代を感じますが、
まあ、この装置をネットにつないでしまわれても怖いので、逆にこういた方が安心できる気もします。
展示のマネキンさんは真剣な顔をした女性になってますが、9年前に来た時は
妙に吹っ切れた笑顔のアンちゃん二人組のマネキンが居て、いらぬ不安を煽られたものでした。
さすがにあれはマズイ、という事でこの女性二人組に置き換えられたのかなあ…
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