■冷戦編の落穂ひろい

さて、今回は冷戦編の細かい展示と、お次のICBMの館の展示に入って行きますよ。



ノースアメリカンT-28Aトロ―ジャン。
ベストセラー高等練習機、T-6テキサンの後継機として戦後に開発された練習機。
トロ―ジャンはトロイア人、勇者といった意味で、T-28のTの字に引っ掛けたもの。
ジェット機時代の練習機として機首部に大型レシプロエンジンがあるのにも関わらず
前輪ありの三輪式の着陸脚とした結果、前輪収容部のため妙に太い胴体になってる機体でもあります。

1949年9月に初飛行ですから、同社のF-86より新しい機体なんですね。
展示のA型は空軍向けの初期バージョンで、B型とC型ではエンジンがパワーアップ(800hpから1425hp)したのですが、
こちらは全て海軍が使用したようです。
ただしベトナム編で少し触れたように、空軍はこれを地上攻撃機としても使用したのですが、
この時はエンジンをパワーアップして海軍版のモノに積み替えてます。
(機体を丸ごと海軍から貰った可能性もあり)

この機体もベトナムと冷戦館で二機展示されてるのですが、どちらも天井からのぶら下げ展示で、
適当な扱い感は無くも無く…

ついでに冷戦館にはほかにも数機、T-33などのぶら下げ展示があったのですが、
暗い上に見づらく、写真は全て失敗&一部撮り忘れのため、すみません、残りは無しで…



ちょっと興味深かった小型水爆核弾頭、W28の運用システムの解説。
赤いのが水爆弾頭であり、これの頭と尻尾に付けるものによっていろんな形の爆弾、
さらには巡航ミサイル&例の対空陣地を潰す核ミサイル(笑)ハウンドドッグにまで搭載できる、という図。
というか、ハウンドドッグ、水爆弾頭積めたのか…

よく判らないのが真ん中の爆弾型で、これプルトニウム型原爆の起爆装置付いてないのでは?
運送用、保管用の安全形態なのか、あるいは単体で爆発させる秘術でもあったのか。



航空偵察用カメラK-42。
ボストン大学が開発に参加したためボストンカメラの通称を持ちます。
奥に見えてる人物と比較すると判ると思いますが、人間より巨大なカメラで
世界最大の航空用カメラですが、単にフィルムカメラとして考えても恐らく最大級のものの一つでしょう。
(フィルムで無ければ銀塩板写真時代にお化けカメラがあるけども)

焦点距離は6m(笑)と凄まじいもので(ただし内部のミラーで反射して距離を稼いでるが)
高度14000mからの撮影でゴルフボールを識別できた、というからスゴイものです。
(自宅から14qというのがどれだけの距離かを各自マップで確認してもらえればよく判ると思います)

1951年に完成、主にB-36の偵察型RB-36に積まれて使用されたようです。
冷戦時の東ヨーロッパの偵察に使われた…という事は
あの一帯でも平気で領空侵犯やってたんですね、アメリカ空軍。



BLU82/B爆弾。
15000ポンド(約6.8トン)という巨大爆弾で、ベトナム戦で強襲ヘリコプターが着陸する時、
邪魔なジャングル一帯の植生を一掃するために使われたものだとか。
Live bombの愛称を持つらしいんですが、これ日本語だと生爆弾、といった感じでしょうか。

薄い外板のタンクに入った液状の火薬が使われてるとの事なので恐らく一種の気化爆弾でしょう。
これを左側に見えてる接地信管によって地面からわずかに高い位置で爆発させるため、
強烈な衝撃波で 半径80mの一帯の草や低木を吹き飛ばせた、とされます。
気化爆弾ですから、着陸の邪魔になるクレーターを造らないという点も利点でしょうし、
周囲に敵が潜んていても、熱と酸欠でほぼ確実に生きてません(100m以上離れてば大丈夫だと思うが)。

ただし重すぎて、デカすぎたため、通常のF-105などでは運べず、C-130の貨物室に積んで、
パラシュート投下で使用したんだそうな。
いろんなことやってるなあ、という感じですね。


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