■日本の空ブラザーズ




こちらは鼻っ面にレーダーシステムを積んだF-86Dセイバードッグ。
この機体は米軍からの供与のみで、ライセンス生産はやってません。
それでも120機前後が配備されてたようで、十分主力戦闘機級の扱いでした。

F-86とはなってますが、D型は全く別の機体で、地上からのレーダー誘導によって核爆撃機を
一撃必殺で撃墜するための機体でした。
このため武装は機体下のロケットランチャーのみです。
これもさんざん解説したので、もういいでしょう(笑)。

ちなみにこちらの自衛隊愛称は月光。
…レーダー搭載の全天候型戦闘機ですが、夜戦というわけではないんですけどね。

でもって、これも当然ノースアメリカン社製。
T-6、T-28、F-86F、F-86Dと、展示機の約1/5がノースアメリカン社製となっており、
当時の同社の影響力がよく判ります。



再び三菱のF-1。
右に見えてるのはそのエンジンですが、展示の機体は展示の機体で、キチンとエンジンを積んでます。
これも広報館の特徴の一つで、重量がありかつ高価でもあるエンジンは外されてる事が多いのですが、
ここでは多くの機体がエンジンを搭載したまま展示されてました。

で、このF-1も何というか、超音速ではあるんだけど、それ以外ではパイロットはお気の毒というか、
人の税金でこんなもの買いやがった奴はエロマンガ島に島流しにせよというか、
まあ、そんな機体。あまり書くことはない、というか書きたくないです。



見ようによっては、愛嬌のあるスタイルなんですけどね。



こちらはロッキードの直線番長、F-104J。
これも航空自衛隊独自の愛称がありまして、その名は栄光でした。
ただしこの愛称システム、どうも評判がよくなかったのか、この機体を最後に廃止されてます…。

展示の機体はなぜか ヴァルカン砲の発射口部が塞がれて居ましたが、理由は不明。
693号機という事は、追加生産分の新しい機体ですから、
最後の1986年ごろまで現役だった機体のはず。

F-104Jは210機が配備されており、この時代は
200機以上の機体が自衛隊でもゴロゴロしてますね。
この後のF-4ファントムII以降は機体の高額化もあって100機台の調達になるんですが。

F-104Jの場合は3機だけがアメリカ製、あとは三菱のライセンス生産でした。
複座練習型のF-104DJもあり、こちらは20機が配備されてますが、全機アメリカ製です。

日本が導入した唯一のセンチュリーシリーズの機体で、
マッハ2を超える直線番長機ですね。
本来は核爆弾を持ってくる高高度、高速爆撃機相手に活躍する予定の戦闘機でした。
すなわち、どちらかと言えばF-86Fではなく、F-86Dの後継機という事になります。
実際、F-86Fは並行して運用が続き、最後は1980年まで飛んでました(完全引退は1982年)。

F-104は1962年から導入され現役引退は1986年ですから、
かなりの長期間、F-86Fと平行運用されてた事になります。
(先に見た無人無線操縦機は除く)
もっとも、F-86Fは途中からいろんな任務を兼用となってたんですが…。

ちなみにF-104は、そもそも機体が小さくてまともな電子機器が積めない、
という戦闘機であり、それでどうやって広い空の中、
夜間や荒天時に飛んできた敵の高速爆撃機を発見、迎撃するの?
という基本的かつ素朴な疑問に最後まで明確な回答が与えられなかった機体です。
冷戦中にソ連の爆撃機が本気で飛んでこなくてホントに良かったと思いますね。

じゃあ、なんでこんな機体を買ったの?と言えば、
まあ、そりゃロッキードと癒着してるダレスには逆らえないわな、
敗戦国の日本もドイツもイタリアも、という事です。
極めて政治的な戦闘機なんですよ。

技術的には興味深い機体ですが、私による評価は地の底な機体でありますな。
少なくとも戦争で使う機械じゃないでしょう。


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