■どれだけマウザーが好きなのか
お次はマウザー(モーゼル)自動拳銃、いわゆるマウザーC96 7.63oマシンピストルの一連の展示。
1926年の北伐前後からドイツの軍事援助を国民党軍は受けていたので、このピストルも大量に採用され、
中国本土でも生産がされてました(正規ライセンスの可能性が高いが、どうも怪しい部分も多い)。
これはその中国製マウザー(モーゼル)で、拡大鏡の部分を見ると、
1928年中国製の刻印があります。
ちなみに左にあるのは、先に見たようにグリップに付けて使う銃底ですが、
実はこれが銃のケースを兼ねています。
よく見ると、この展示でも左端の方に切り欠きがあるのが判りますが、
ここからフタが開いて、中にC96を収納できるのです。
このため、この木製ホルダーを持ち歩くためのホルスターが付いてます。
ついでにこの解説にあるように、盒子炮と中国では呼ばれてたのですが、
これは箱入り拳銃、といった意味で、この収容方式を意味してます。
こっちはドイツ製のオリジナル。
本物でしょう。状態はいいです。
本来マウザーの自動拳銃はマガジンが無く、上の穴から弾を束ねたクリップを差し込み、
指で下の弾倉に押し込んで使う、という仕組みだったんですが、
1930年代のころから、マガジンを使えるタイプに変更されてます。
これはそのタイプで、引き金の前にマガジンの脱着ボタンがあります。
ちなみに上の中国製に比べて銃身が短いのは1921年型以降、銃身が短くなったから。
つまり中国製のはごく初期形を生産していたわけです。
中国と並んでマウザーの自動拳銃の生産に熱心だったのがスペインでした。
でもって、よほどマウザーが好きだったのか、
中華民国ではこれも輸入して使ってました。
これは弾倉部が下に拡張されてる20発装填型。
スペイン製のマウザーはロイアル(Royal)と呼ばれる事が多いのですが、
これがメーカー名なのか、あるいは王立の工房で作られていたのか、よくわかりませぬ。
ちなみにこれもマガジン無しで銃身が長い初期形。
この博物館には、こんなのまであり。
マウザー自動拳銃の騎兵銃バージョンでグリップの部分に長い銃床を付け、
さらに前部にも保持用の木のグリップを装着、そのうえで銃身をびよよーんと延長したもの。
全長実に873oと、もはやあんたらピストルに何させる気なの、というモノになってます…。
ちなみにこれ、私は初めて見たんですが、
調べてみたら、ドイツでは1899年ごろ、ごく少数が生産されたのみ、とされます。
中国製ではなく、オリジナルだとすると、
値段の見当がつかないくらい希少な銃という事になりますが、詳細は不明。
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