■台湾軍の画力
というわけで、今回のオマケは台湾国軍と絵画芸術についてだ。
「はい?…ああ、タイ空軍博物館で見たようなの?」
とは、ちょっと方向性が違う。
こちらは公式な絵で、歴史的な事件を絵で再現しちゃおう、
という台湾軍の本気絵画だ。
「それが?」
それが当然、アジアの軍事博物館スタンダードだったんだよ、ペロ君。
「ああ、なるほど…」
まずは白馬に乗った蒋介石先生。
「まあロバやアルパカに乗せるわけにはいかんだろうからねえ」
ちなみに空の上に見えてるシミのようなのはジェット戦闘機の機影なのだが、
なんか妙な角度で、集団で失速、スピンに入ってるように見えなくもない。
「さいですか。で、どういった情景なの、これ」
よくわらん。あ、蒋介石だ、近寄らない方がいいぜ、と
皆が遠巻きに眺めてるようにも見えるが、横の解説によると
北伐から台湾の成立まで、全ての立役者で「国民革命軍の父の図」である、とされてた。
「まあ、いいんじゃないの」
でもそのお父さんが、中国本土の失策で共産党に大敗北、
この台湾に逃げて来たおかげで、どれだけの人間が意味もなく殺されたと思う?
少なくとも万人の単位だぜ。
「まあ、ねえ」
どうもこの辺りの中華文化圏の感覚は理解しがたいものがあるんだよ。
毛沢東なんかも自国民を数十万単位で意味もなく死に追いやっていながら、
未だにお札にまでなってる国家の父扱いだからなあ。
「まあ、ねえ」
この辺りは、韓国もキチンと自国の歴史を理解してるとは思いかねる部分があるので、
なんか儒教系政治に支配されてる東アジア地区の特徴なのかねえ。
少なくとも私には全く理解できん世界だけども。
「なにこれ」
先にもチラっと触れた、中華民国軍がビルマ方面の英国軍を援護した作戦を描いたものだ。
「微妙な画力だね」
ホントに微妙としか言いようが無い絵なんだよなあ。
なぜこれを博物館に飾ろうと思ったのだろうか、という感じの。
館長の奥さんが描いて持ち込んで来たんで、断り切れなかった、とかかなあ…。
「となると手前がイギリス軍?」
だろうなあ。ターバン巻いてるシーク教インド兵みたいのも居るし。
ちなみに両者の間には判りやすく日の丸持った日本兵が倒れてる。
「…奥が火事になってますが」
なってるんだよなあ。
向こう側の中華民国軍が放火して歩いて来たように見えなくもないよなあ。
「微妙だね」
ホントにそうとしか言いようが無いね。
最後はこれ。蒋介石先生が前線で部隊を指揮するの図。
「…兵隊さん、先生が指示してるのと全然別の方向に行ってない?」
行ってるよなあ…。後ろのヒゲの参謀も困った顔してるし、
ポーズ取ってる蒋介石先生も引っ込みがつかなくなって固まってるようにも見える。
「収集がつかないねえ」
つかないよなあ。
でも解説によると、この絵になってる作戦は大勝利だったらしいから、
まあ、よかったんじゃないか。
「…蒋介石先生の指揮があっても無くても問題なかった?」
と、遠まわしに言ってる絵、と深読みできなくも無いな。
といった感じで、今回はここまで。
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