■さあ乗艦だ



まずは入り口の手前から艦橋部を見上げる。

前部甲板は二階建て。
艦橋前の二階部にはかつて二つ目の5インチ連装砲があったんですが、
これは早くに取り外されてしまい、写真で左右に見えてる対潜魚雷の発射台にされてます。

その中央部にある台形の三つの箱は、台湾国産の雄風対艦ミサイルの一型。
が、これは適当装備その1で(笑)、徳陽艦はこの型の対艦ミサイルを積んだことは無いはず。
ここには1989年の改装で、ハープーンに似た対艦ミサイル、
おそらく台湾国産の雄風(Hsiung Feng)二型の発射管を積んでたはずなんですが、
それらは外されて、もったいない、まだ使えると別の現役艦に移植されたと思われます(涙)…

艦橋は操舵手など以外は外のベランダで立ちっぱなしの露天甲板では無く、
きちんと囲いと窓が付いた近代的なものになってますが、
これは60年代前半にアメリカで改装されたままの状態でしょうかね。

ちなみに、手前で下に伸びてるのは、おそらく艦内で使うための電源ケーブル。



艦橋後ろのアンテナポールは当然、後付けですが、
60年代前半にアメリカで付けたものを、ほぼそのまま使ってるようです。

一番上のデカい湾曲したアンテナは、戦後の1947年ごろからアメリカ海軍が導入を開始した対空レーダー、
AN-SPS6シリーズで、このシリーズは、A〜D型まであるんですが、私には見分けがつきません。
一応、ある程度細かい数値も読みとれる高周波数の
ギガヘルツ(GHz)レーダー(1.2〜1.3GHz、波長3m前後)なんですが
基本は対空警戒用で、射撃管制には使えないはず。
(大型艦相手の主砲射撃ならやってできない事はないと思うが)

ただし徳陽艦時代にこの型のレーダーは積んだことが無いはずで、
おそらくこれも展示に当たって適当に取り付けた装備です、はい(笑)。
どっから持って来たんだ、こんな古い装備。

ついでに、その下、ちょっと見づらいですが、もう一つ、やや小型の似たようなアンテナが
横向きに付いてるのが判りますかね。
こちらはおそらく海上警戒用レーダーのAN/SPS-10B。
1953年ごろからアメリカ海軍で使われていたものですが、
どうもこれは現役時代の写真からして、最後まで使っていた疑惑が…。

その下、艦橋の屋上辺りに見えるおわん型のパラボラアンテナは
極めて適当に付けられたもので(涙)、正体は不明。
こんなアンテナ、この艦は一度も使った事がないはずです。
よって型番を特定しても意味ないでしょう(笑)。
ただしこの写真では見づらいですが、その下にある射撃管制装置は
どうも現役時代に使っていたもの、あるいはその箱部分だけでもそのままのようです。



乗船口はここ。
ボストンで見たUSSカッシン ヤングもそうでしたが、乗り込み口の位置が妙に低いんですよね、駆逐艦。
展示状態でこれだと、実戦で燃料弾薬を満載して重くなったら、
どんだけ喫水線が浅くなるんだろうと少し不安になったり。

逆言えば、これだけ水面から舷側が低いので海上に浮いてる遭難者の収容には向いており、
沈没艦の生存者救助や不時着水したパイロット救助などに駆逐艦が向かうのは当然でした。
戦艦では上に這い上がるだけでも大変ですし、正規空母に至っては格納甲板でも
ビル並みの高さがあるので、救助のやりようが無いと思われます。
これらの艦ではカッター(救命艇)を降ろして収容するしかないでしょう。



船体主要部の横を通る通路はこんな感じ。
あれ、意外に広いな、と思いにけり。

なんだかやたらバルブがありますが、場所からして燃料補給用のもの?
あるいは手前に赤い箱が見えてるので消火栓ですかね。



ハッチはアメリカ海軍ではお馴染みのタイプ。
周囲のハンドルを回すと完全に水密状態にでき、浸水が防げるようになるヤツです。
が、妙に固定ハンドルの数が多い感じ。
USSニュージャージーでは確かハンドルは8個だったはずで、
こちらはさらに2個多い10個ですね。
これが駆逐艦用なのか、場所によって変わるものなのか、よく判りませんが。


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