■それは美しい場所で

一方、その展示場所の特定は困難を極めたが、
最終的にグーグルマップの空中写真モードで恐らくこの辺り、
という場所を徹底的に探して、
地上に軍艦が固定されてる公園を発見する。

しかし20世紀後半、アメリカ空軍位にしかできなかったこんな力技が
日本の一般市民にできちゃうんだから、21世紀すげえ、
と改めて思ったり。

結論から言うと、場所はチャオプラヤー川が
タイランド湾に注ぐ辺りの西岸、
バンコクの南に位置するサムットプラカン(Samut Prakan)州にある
プラー チュラチョームクラオ砦(Phra Chulachomklao Fort)の中であった。

日本人には覚えにくい名だが、
プラーは仏性を示す接頭詞らしく、タイではよく聞く語だ。
残りのチュラチョームクラオ(Chulachomklao)は
19世紀〜20世紀初頭のサイアム(タイ)王、
ラーマ5世専用の尊称なので、どうやら彼がこの砦を造らせたらしい。

ただし砦のタイ語発音は英語表記と明らかに違うのだが、
ここら辺りのルールはどうもよくわからない。
この砦、タイ語表記ではป้อมพระจุลจอมเกล้าだから、
例のพระ、プラーの語は名前の真ん中にあるのだ。

でもって、砦(Fort) ? 砦の跡じゃないの?と思ったのだが、
 1893年にラ-マ5世王の命令で築かれたこの砦、
さすがにその役割を終えているものの、
今でも現役の海軍施設が敷地内にあるため、
単純な公園といったものではないらしい。
なんだそりゃ、とにかく行ってみないとわからんな、と思う。

ちなみに1893年完成という事で
記憶のいい人はあれっと思ったかもしれないが、
そう、ここが例のフランス サイアム(タイ)戦争(Franco-Siamese War)
の主戦場であり、タイにとっては歴史的な要塞なのだ。
いや、負け戦なんだけども(笑)。
ある意味、長州の下関海峡砲台みたいなものかもしれない。



結論から言うと、現地はよく整備された(ただしタイ式に(笑)…)公園といってよく、
バンコク周辺では結構有名な保養施設らしいと知る。

ただし現役の軍施設なのも事実で、入口には衛兵の検問があり、
レンタカーなどで行く場合は身分証明書、パスポートが必要となる。
ちなみにタクシーで乗り入れると、運転手さんの身分証明書を見せるだけで済んだが、
常にそうとは言えないのがタイなので(笑)、念のため持って行った方がいいだろう。

赤い屋根は休憩所で、写真手前の左手がかつての砦跡になる。
奥に見えてる緑地はマングローブの天然林となっており、
中には遊歩道も整備されている。
ただし、タイ式に、だが(笑)…



つまりバンコク市外なのだが、その中心部から約24q前後だから、
東京〜横浜、東京〜大宮、東京〜幕張メッセ、
あるいは大阪〜神戸、なんば〜奈良より少し近い程度の距離だ。
普通に考えると大したことはないのだが、
タイの交通事情を考えると移動で半日はかかるな、と見積もる。
そして実際、その通りになる(笑)。

当然、地下鉄もスカイトレインもそんなとこまで行ってないので
交通手段はバスかタクシーとなるのだが、
海外で、とくにアジアのバスは初めて行く場所で使うのはギャンブル性が高い。

が、2014年のグーグルマップはなんとバンコク周辺の全バス停と、
そこを走ってるバス路線の番号が確認できる機能があるのを発見する。
こりゃすげえ、と早速周辺を走ってるバス路線の番号を確認、
以前は現地でしか手に入らないバス路線図が必須だったのに
出国前にほとんどの行程を決定する事に成功してしまう。

ちなみに香港やワシントンDCでも同じようにバス路線は確認できたが、
東京やロンドンではまだこの機能は使えなかった。
この機能、昨年のワシントンDCの時に知ってればなあ…。

では具体的な地図と夕撃旅団の進撃プランを確認しよう。
地図の北側(上)が夕撃旅団バンコク犬本営のあるバンコク中心部、
南がタイランド湾で、そのチャオプラヤー川河口左岸にあるのが、
プラー チュラチョームクラオ砦となる。



まず今回の犬本営から現地に向うのに最大の問題になるのが
チャオプラヤー川で、実はこの川、バンコクを出てしまうと、
タイランド湾に注ぐ河口まで、まともな橋は1本しか無い。

それも河口から6q近く北であり、
よって目的地のプラー チュラチョームクラオ砦に行くには
バンコク市内であらかじめ左岸に渡っておくか、
途中のサムットプラカン州の街、パクナムにある渡し舟で渡河するしかない。

もしバンコク市内で渡河してしまうなら、スカイトレインのシーロム線で
ウォンウィエン ヤイ駅に抜け、川の左岸を南下する20号路線バスで
パクナムの対岸まで出る。

渡し船を使うなら、これもスカイトレインのベリアン駅まで行き、
そこからは25号か142号路線バスでパクナムまで南下、
そこで渡河して対岸に渡る、となる。

ただし、両者ともパクナム対岸に到達した後の交通手段は無く(笑)、
そこからは砦まで、最後1/3の行程、ガッツでカバー地区の
8qの移動手段ははタクシーに頼る事になるはずだ。
が、これもグーグルマップで、この辺りの道路には
それなりの数のタクシーが居るのを確認したから問題は無い。

ちなみに、そのパクナムの街周辺から南は
タイ海軍の総本山とも言える地域で、パクナムの街には
海軍の士官学校や博物館、
そして上の地図で海軍銀座と書いた辺りには
海軍工廠や機雷施設部隊の基地がズラリと並んでいる。

これに対してドンドンムンアン、ドンムンアン空港周辺は
タイ空軍銀座となっており、これは4日目(2日後)に訪問する事になる。

で、行きは左岸ルート、帰りは渡し船を使って右岸ルートを採用した。
行きは終点で降りればいい20号線のバスの方がリスクが少ない、
と判断したから、帰りは対岸のパクナムにある
海軍博物館を見れたら見てこよう、と思ったからだ。

が、両者とも、見事に予定外の事態の連続になるのだが(涙)…





ป้อมพระจุลจอมเกล้า


最後に自分も行ってみよう、という人への大サービス(笑)オマケ。
タイのタクシー運転手さんに地図を見せてもあまり意味が無い。
なので砦の施設写真とタイ語名称を併記しておいたので、
これを印刷して現地に持ってゆくべし。
ほぼ同じようなものを持っていって(写真はもっとショボかった)通用したので、
これで十分、なんとかなるはず。

…ダメだったとしても、責任は持てないが(笑)…

ちなみにバンコク市内から車で行くなら、
高速道路で渡河して砦跡まで問題なく行けるはずで、
全行程タクシーというのもありだろう。

運賃は保証できないが、市内南部から乗った場合、2014年の相場なら
500バーツ(約1750円)も見ればいいと思うので、
人数が居る、あるいはお金はいくらでもある、
という条件でなら、これも有効な手段となるかもしれない。


NEXT