■そして休憩所へ
さて、そんなわけで博物館の表側に戻ってきました。
が、炎天下の中、延々と屋外撮影をしていたため、
さすがに少々バテております。
でもってこの駐車場の一番奥、すなわち入り口から見て左側の奥に
新しい建物が建っているのに気がついた。
どうも以前は1号館(仮称)1階にあった、土産物屋らしいので、
とりあえず先にそれを見ておきましょうか。
何か飲み物があったら買いたいし。
中に入ってみるとキレイな建物で、まだできたばかりのように見えます。
左がお土産屋さんで、画面中央で脚だけ見えてるのが
飲み物売りのオバサマです(笑)。
そのお土産屋さんの商品もいろいろ興味深かったのですが、
狭いお店の中に店員さんが3人もいて、あまり撮影するのもはばかられ、
とりあえずこの写真だけ。
なぜか土下座している空挺隊員らしき人と、妙に可愛い陶器人形たち。
ひょっとすると貯金箱なのかも知れませんが、詳細は確認できず。
とりあえず、オバサマから飲み物を買って、屋台で仕入れた太麺を食べて休息。
ちなみに冷房入ってるかな、と少し期待して入ったのですが、
そんなもの知らぬ、通じぬ、という感じで、天井の扇風機まで止まったままでした…。
でもって画面奥の場所がどうも食堂らしいと知る。
まだ11時過ぎですから開店してませんが、後でもう一回来て見ましょう。
さて、見学に戻りますよ。
まずは表に展示されてる目玉展示の一つ、
カーチスのヘルダイヴァー艦上攻撃機、SB2C5。
一応、この博物館の目玉の一つのはずですが、これまた解説等は一切ありません(笑)…。
言うまでも無く太平洋戦争時代のアメリカ海軍の攻撃機で、
タイでも当初は海軍が運用していたようですが
1951年にこれを空軍が引き取って1955年までの4年間、6機だけ運用していました。
普通に考えるとよくわからん運用だな、という感じですが、
1951年は例のタイ海軍がクーデーターに失敗した年なのを思い出してください。
首相を人質にした砲艦HTMSアユタヤ(スリ・アユタヤが正式名らしい)が
あっさり(笑)陸軍と空軍によって沈められた年ですね。
で、おそらくクーデターに対する懲罰として、
海軍航空隊は1952年に解体を命じられており、
その結果、空軍が海軍から引き取った機体なのです。
ただし、海軍航空隊の解体1年前に
すでに受け取っていた事になり、微妙に計算が合いませぬが、
書類上の処理より、実際の解体のほうが早かったのか?
このヘルダイヴァーは、名門カーチスによる最後の量産軍用機ですね。
が、カーチスの凋落を象徴するかのように、
いろいろ問題があった機体でして、部隊配備が1942年末から始まったのに、
問題続出で改修が続き、ようやく実戦投入されるようになったのは1943年夏からでした。
全体的にズングリした印象なのは、多くの機体を搭載したい空母では、
場所を取らないコンパクトな機体が要求されたから。
折りたたみ式の主翼も同じ理由からですが、こちらは空母の格納庫と甲板を結ぶ
エレベーターに2機ずつ載せられる、という点からの要求でもありました。
100機レベルで艦載機を積んでいた当時の大型空母で
1機ずつ上げ降ろしなんかしていたら、とてもじゃないが作業が追いつかない、
という面があったようです。
斜め前から。
以前は屋内展示だったのですが、外に出されてだいぶ保存状態は悪くなってますね。
ヘルダイヴァーは妙に違和感を感じるのですが、気がつきましたでしょうか。
この機体、主翼の位置が変なんですよ。
主翼は機体を上に持ち上げる力が発生する場所ですから、
プラモデルを糸でぶら下げる時のように、
重心点にこの力の発生点が来ないと前後のバランスが取れません。
つまり、主翼は機体の前後の重心点付近に取り付けられる必要があり、
そうしないと機体が前後に傾いてしまって、まっすぐ飛ぶのが困難になります。
で、単発レシプロ機では、通常は最も重いエンジンが胴体の前についてるので、
重心は前方にあり、この結果、主翼も前よりの位置につきます。
なので上から見ると、いわゆるT字型になるのです。
(武装も重いが重心点に取り付けられる主翼にある限りほぼ問題ない)
が、この機体、レシプロエンジンの単発機なのに、主翼がかなり後方、
胴体の前後中心付近にあり、なんとも異様な印象を受けるのです。
ここで同じカーチス製のホーク75(P-36)と比べて見ましょうか。
ii
コクピットと比べると、より判り易いと思いますが、上のヘルダイヴァーの主翼が、
かなり後ろに位置してるのが見て取れるでしょう。
腹の中に爆弾積むのでその重量バランスもあるのですが、
それらは主翼のすぐ下に配置すれば問題はないはずです。
実際、ヘルダイヴァーの先代であるSBDドーントレスは
そういった位置に爆弾を置いてますし。
どうも、ここらあたりもよくわからん機体ではありますね。
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