■機体ばかりじゃないのよ
というわけで、今回も屋外展示の続きを。
とりあえず、展示されてるのは航空機だけではないので、
そちらを先に見てしまいましょう。
これは3度目の登場、40mmボフォース対空機関砲。
おそらくL70だと思いますが、例によって解説がないので断言はできませぬ。
こちらは大砲のように見えますが、榴弾(爆発で被害を与える砲弾)を
遠くに飛ばすための75mm迫撃砲です。
アメリカ陸軍が使っていたM116系統だと思いますが、
例によって何の説明も無いので詳細不明。
しかし、どう考えても空軍が使う装備ではない気がしますが…。
そこから清掃中らいしいおじさんの後をついて行き、さらに奥に向かうと…
対空レーダーの展示が。
かなり大型のこれはアメリカ製の警戒レーダー(Serch
radar)AN/MPS-11のアンテナ部。
1960年代の移動式レーダーで、本来は台車がついてたはず。
ついでにこれがレーダー本体みたいな解説がついてましたが、
これは単なるアンテナ部でして、本当なら電子装置を積んだ
大型トラックがセットになっており、むしろそっちが本体に近いものです。
残念ながらそちらの展示はなし。
横長な反射部(巨大な網部分)は緩やかな放物線を描いており、
反射された電波は、その焦点に置かれた受信部に集中するようになってます。
一種の電波レンズですね。
反射板は本来なら衛星放送アンテナのようにお椀型が望ましいのですが、
精度を上げると巨大になりすぎるため、
お椀部分を横方向に切り取った形になってます。
ここら辺りの理屈はここを読んでくださいませ。
ただし、これで方位と距離は完全に把握できますが、
高度は貧弱な精度でしかわかりませぬ。
なので下で見る縦型レーダーが必要となるわけです。
ちなみに警戒レーダーといってもそこはアメリカ、
1.2〜1.3GHzのGHz高周波数で、その精度はかなり高かったと思います。
ここの解説によると最大探知距離360kmで
誤差+-0.5度なっており、本当ならたいしたものです。
ついでにこれ、ゼネラル・エレクトリック社製のもので、ジェットエンジンと並んで、
こんなレーダーまで造ってるというのは、妙な会社ではあります。
もっとも、本来はこっちが本業で発電用タービン→蒸気タービン→タービンジェット、
という風が吹いた結果オケ屋が儲かった的なジェットエンジン製造は
当初は副業っぽい印象が強かった感じがあります。
それが、いつの間にやら立場が逆転していたわけで、
今やジェットエンジン(ターボファン)がGEの屋台骨を支える部門となってますね。
でもって、高度を正確に測るためには、放物線を描いてる
縦方向の反射網を持った、もう一つのレーダーが必要になるわけです。
これも巨大な三日月型の部分は単なる反射面で、
その反射の焦点にある受信部、上に飛び出してる装置に
電波を集めるようになっています。
微弱な電波でも、これだけの広さから一点に集中させればかなり強力になり、
その精度は高くなる、という事ですね。
こちらはAN/FPS100というレーダーで、ベンディックス社製。
最大高度で30km上空まで捉えられた、と書かれてましたが、ホンマか、それ(笑)。
まあ近距離でなら不思議はない高度ですが、近距離弾道ミサイルなら
補足可能な能力を持っていたことになります。
ちなみにこのベンディックス社は、エアレースでその名も高い
ベンディックス トロフィーのスポンサーです。
あの会社、航空機用部品だけでなく、こんなものも造っていたのでした。
さて、こんなところで裏庭における屋外展示は一通り見たことになります。
お次は表の屋外展示場へと行きましょうか。
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