■微妙な機体たち



こちらは世界でおなじみセスナ O-1バード ドッグ。
民間機のセスナ170の軍用バージョンです。
ただし民間型そのままではなく、視界確保のため客室部、
特に後部の形状が大幅に変更されてます。

これはベトナムで米軍が使った多用途機で、それをタイが供与された機体じゃないかと。
ただしこれも解説が無く、詳細は不明ですが…。

ちなみにこの機体、ベトナムでは例のFAC、地上攻撃誘導機としても使われてました。
なので、この機体でできる任務を、
より高価なOV-10でやる理由は何も無いと思うんですよ(笑)。



これはちょっと珍しい機体。
イギリス製のパーシヴァル プリンスIIIです。
1953年からタイが地上観測、とくに地図作成の航空写真撮影用に導入したもの。
展示機では機首部の透明部に青いカバーが掛かってしまってますが、
あの爆撃機のような機首は地上観測員のための明かり窓で、
あそこでカメラの照準をつけたらしいです。
ただしカメラもそこにあったのか、別に腹の下に積んでいたいのかはよくわかりませぬ。

パーシヴァルなるイギリスのメーカーは私もよう知りませんが、
以前にダックフォードで見た練習機、プロクターなんかを造っていた会社ですね。

ちなみにタイ空軍は1機しか購入してないはずで、よく残ってたな…。



でもってこちらも例のCOIN機、セスナのA-37B。

最初は米軍から1972年に供与されたらしいのですが、
これも1980年代に中古でさらに買いたし全部で20機を導入、
なんと1994年まで現役で使ってました。
どうもタイ空軍の場合、失礼ながらまともな機体維持能力が無いように見え、
運用が長引くにつれて部品の共食いで稼動機が減ってゆき、
そのため次々買い足してる、という気もしますが…。

ちなみにこれ、以前はこの博物館のお気に入りの機体で、
例のスピットファイアが居たハンガーの真ん中に写真パネル付きで
ドーンと展示されていたんですが、今や屋外でボロボロになりつつありました。
…人気を失うって悲しいなあ、と思ったり。

一応ジェット機ではありますが、もともとはセスナ社が開発したジェット練習機T-37を改造したもの。
ただし、兵装と装甲追加による大幅な重量増のため、
エンジンのパワーアップ、機体構造の変更までやってしまい、
ほぼ別の機体になってしまっています。

ちなみに500機以上が造られてますが、
その半数近くが南ベトナムに供与されたようです。



でもって、その改造元になった練習機、T-37もタイは使ってました。
こちらも1961年に導入後、1996年まで現役だったようなので、
タイ空軍、ホントに運用が長い機体が多いな。

A-37とよく似てるのは当然ですが、胴体横の空気取り入れ口などが
高出力エンジンへの換装により、上で見たA-37では
より大型化してるのに注意しておいてください。



これも何の解説もなかったのですが、おそらくパズメニー(Pazmany)のPLだと思います。
タイ空軍は採用してないはずの機体なんですが…。

パズメニーはアメリカのマイナーな航空機メーカーですが、
これがなぜか台湾でラインセンス生産され、空軍、陸軍ともに採用してたりします。
この機体はおそらくアメリカ製じゃないかと思いますが例によって確証はなし。



こちらの双発機はビーチクラフト C45。
最終的に9000機以上作られたビーチクラフトのモデル18の軍用バージョンがこの機体。
解説によるとこれは供与機ではなく、1947年にアメリカから購入したものらしいです。


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