■西ドイツから来たアイツ



これはちょっと珍しいと思われる機体、西ドイツ時代のドイツ機で、
RFB ファン トレイナー。
その名の通り練習機で、エンジンによって400型と600型があるんですが、
この展示機には何の解説も無く、どちらかは不明。

1978年に初飛行、1982年からタイ空軍に導入された機体ですが、
わずか50機前後しか生産されてないはず。
47機がタイに売られたとされますから、ほとんどがタイに来たはずで、
世界中でもこの機体が見れるのはこの博物館くらいかもしれません。
西ドイツ空軍も購入してはいるようなんですが、
おそらく試験用に数機買っただけ、と言う状態みたいです。

ついでにほとんどがパーツの輸入で、組み立てはタイで行なったらしいのですが、
その際、本来グラスファイヴァー製の主翼を、
普通のジュラルミン製に変えてしまった、との資料もあります。
いや、大丈夫なのか、その大改造…

ちなみに、少なくとも12年前(2002)年には
すでにこの博物館に並んでましたから、
その妙に早い退役は、やはり何か不都合があったんでしょうか。



この機体は、、ガスタービンエンジン(ターボプロップ)を搭載、
プロペラを後ろに向けた推進式プロペラ…ではなく、
筒内ファン(Ducted fan)推進という、かなり変な推進装置を持つ機体。
後ろから見るとその変な構造がよくわかります。

RFBという会社は筒内ファン方式に強いこだわりがあったようですが、
改めてこれを見た私の感想は、桜花の自称ジェットエンジンは、
ある意味ダクテッドファンだったと主張した方が恥をかかなくて
済むかもしれんな、というものでした…

そもそもは練習機にジェットエンジンは高価すぎ、
それでもやがてジェット機に乗るパイロットにはその操縦感覚を掴ませたい、
というなんだか妙な発想で造られた機体らしいです。

見て判るように、胴体後部は胴体と言うより巨大な十字尾翼、
という構造になっていて、何か空力的な問題があったのか、
構造的に強度が保てないから、軽量化しただけなのか。

筒内ファンの後流がどういう流れなのか、
データを見たことないので私にはわかりませんが、
普通にプロペラ後流に近いものなら、回転する空気の流れが
この平らな胴体部を直撃して、かなりの尻フリが発生しそうな気もします。
十字型になってるのは強度確保とともに、その流れを途中で止めるため?



正面から見るとこんな感じ。
とりあえず見た目はカッコいいので、もうちょっと売れてもよかったのに、と思ったり。

ちなみに後輪の収容も独特で、あのまま回転して上に撥ね上げ、
車輪部分は高翼構造の主翼の中にスポッとはまるようになってます。
いろんな意味で、珍しい機体ではありますね。



こちらはヒラー UH-12。
これも朝鮮戦争世代の小型ヘリですが、意外に博物館では見ない気もします。
この機体、なぜかローターブレードが外されてました。

ちなみにタイは40774ドルで4機買いました、と書かれてましたが、
いつの時代の価格だろう…
妙に安い気がするので、60年代ごろに中古で買ったのか?



こちらも世界中で見かけるヘリコプター、ベル UH-1のN型。

なぜかタイ語の解説しかなかったのですが、背景の写真からすると、
国王陛下搭乗用の専用機とかでしょうか。
わざわざ、他の機体とは離れた場所に置かれてましたし。

といった感じで、このハンガーの展示機はほぼ見た事になります。
とりあえず今回の本編はここまでとしましょう。


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