■タイの列車は凄かった



そして再びドンムアン空港駅。
バンコクからアユタヤの間の駅では、ここが一番立派なようです。
ちなみに所要時間はやはり45分前後で、やはり先に乗った特急、
この普通列車と所要時間が変わらんような(笑)…。



その先はバンコク駅の線路がウソのように立派な線路となってました。
コンクリート製の枕木もしっかりしており、
列車も結構いい感じで速度を上げてゆきます。

さらに延々と平行してこういった工事が行なわれていたんですが、
これが線路の複々線化といった目的のものなのか、
それともこの横に道路でも通すのか、よくわからず。

運用本数からして、複々線化は無いと思いますが…。



で、ドンムアン空港駅を超えたあたりで、前の席に座ったおばさま。

この方、おしゃべり好きで、通路を通る人に片っ端から話しかけるため、
どんどん周囲がおばさまだらけとなって行き、
最終的に4人のオバサマに囲まれる状態へ突入、
そのオシャベリの大合唱の中、一人取り残される事に(涙)…。

ああ、項羽が最後の戦いの夜、四面を楚歌に囲まれた時の気分は
こういったものだったろうか、いやそりゃちがうやろ、と一人で考える。

その状態で、私が放って置かれるわけが無く、
いろいろ話しかけられるが、英語と日本語で、タイ語はわからないアルヨ、
と答えると、あー、コンイープン(日本人)か、との大合唱となる。
でもっておばさまの一人がアユタヤ?と聞くので、
ええ、そこまで行きますアルヨ、と答えると、
あー、アユタヤ、とまた大合唱に(笑)…。

しばらく、私が何かの話題になっていたようですが、
その後、4人が身分証明書のようなものを引っ張り出し、
それを見比べる、という不思議な会話に入って行き、
しばらく放って置かれる事になります。



ドンムアン空港を超えたあたりから、
周囲は徐々に田園地帯へとなって行きます。
ここは基本的に複線なんですが、
たまにもう一本線路が平行して走ってるのが見えたり。
せいぜい1時間に2本しか運用されてない路線で、
そんなに線路が要るのでしょうかね。

ちなみに何度か写真に写ってる左端のマークは窓ガラスに張られた
タイ国鉄の社章(?)みたいです。

で、ここで先のおばさまが、
窓を開けるから、そっち持ち上げて、と言ってくる。
あ、暑いのかと思って窓を開けると、
手元にあったゴミを全て、バーッと窓の外に放り投げてしまう(笑)。
ええーっと驚いて見ていると、他のおばさま達も、
待ってましたとばかりに、バンバン、ゴミを窓から放り投げる。

日本でも30年くらい前までは、車の窓からゴミを放り投げる文化が
いくらでもありましたから、人の事はいえませんが、
こうして見ると、日本という国は大人になりつつあるのだなあ、
とつくづく思ったり。
まあ、今の日本でもそんな人間はいますが、ごく一部ですからね。

昔の列車を再現したドラマとかでは、皆さん、行儀よく乗ってたりしますが、
今は亡き祖父に言わせると、かつての国鉄の三等客車は
そりゃもう品が悪かった、という事ですから、
経済の発展と時間による国民の洗練てのは凄いものがあるんだと思います。

少なくとも、かつての日本は素晴らしかった的な話は
よく検討しないとチャンチャラおかしいわ、という場合が多いでしょうね。



バンコクを出て1時間半ほど、ちょっと立派な駅が見えたので、
アユタヤかな?と思って駅名の看板を探すも見当たらない。
当然、車内放送なんてありませんから、判断ができない。

するとおばさま軍団が、一斉に手を振って、
アユタヤじゃないよ、と教えてくれる。
指4本出してるのは、どうもあと4駅先、という事らしい。
これは結構助かりました。

ちなみにこの駅、全体が紫色で統一されていて結構オシャレ。
ただし紫は古代ローマでは高貴な色だったようですが、
ゲイ(男性同性愛)の皆さんのシンボルカラーでもあり、
タイでこの色を見ると、ちょっとこの駅で降りるのは
ためらわれるものがありにけり。

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