■謎の戦闘指揮所
その左右にあるのが信号灯。
日本海軍のものと同じなのか、私には判断が付きませんが、
どうも微妙に違うような気がしますね。
日本海軍の場合、30cm程度の大きさだったはずですが、
それよりは大きめに見えます。
一応、探照灯としても使えるはず。
戦闘指揮所の最前部にもコンパスがありにけり。
これもレピーター・コンパスですが、建造時のものかどうかは不明。
左の伝声管、声を伝える金属パイプは
艦橋の操舵手の所につながってます。
おそらく戦闘時は艦長がここに来るか、
戦闘時の最高責任者の砲術長が
艦の航行の指揮権を渡されるかして、
ここから直接、操舵を指示していたはず。
参考までに前回見た艦橋の写真。
総舵手の上、天井から飛び出してるのが、その伝声管ですね。
そこから前方の眺め。
友軍航空機からの誤爆防止のため、
アメリカの戦艦のごとく、
艦橋の屋根に大きくタイの国旗が書き込まれています。
余談ですが、タイ海軍は意外に航空戦力が充実してる海軍でした。
空母も無いのに、古くから独自の航空戦力は持っており、
後に空軍博物館で登場するF-8Fベアキャットなども、
1951年ごろから10機前後、海軍でも独自に運用していたとされます。
その後はしばらく、対潜哨戒機、輸送機、ヘリコプターなどで
がまんしてたんですが、なぜか1990年代後半から、
独自のジェット機部隊を運用を始め、
21世紀に入ってすぐに全ての運用に挫折してます(笑)。
まずは1995年から2002年ごろまで
中古のA-7コルセアIIが装備されてました。
18機+スペアパーツ用3機を購入したと見られてますが、
わずか7年前後の運用で終わってるのは
さすがに年季が入りすぎていたのか、
タイ海軍、ジェット機の運用は苦手だったのか。
(現在、作戦運用はしてないが、退役扱いにはなってないようで、
一種の予備機としてストックされてる可能性あり)
さらに1996年にスペインから買った中古のハリアー(AV-8)9機を
これまたスペインで建造されたVTOL用小型空母(こちらは新造艦)、
HTMS
チャクリ ナルベット(Chakri
Naruebet)上で運用していました。
ただし、どうもハリアーの複雑な構造の機体はタイ海軍の
手に余ったようで、1997年の空母の就任から、
わずか2年後には可動機は1機まで落ちていた説がありにけり(涙)。
どうも予備パーツを全く購入してなかったようで、
9機で(内2機は練習機を兼ねた複座型)交換用パーツの
共食いをやってしまっていたと言われています。
タイ海軍による正式退役の記録は2006年ですが、
実際はもっと早くから運用は停止されていたようです。
とりあえず、HTMS
チャクリ ナルベットは
現在ヘリ空母として運用されてるみたいですね。
そもそも空母といってもHTMS
チャクリ ナルベットは
せいぜい満載排水量で11500トンとオモチャみたいなもので、
どうもタイ海軍、相変わらずいろんな装備を欲しがる病気が
21世紀現在も直ってないみたいな感じがしなくもなく…。
(海上自衛隊のひゅうが型護衛艦が満載排水量で19000トン前後、
アメリカの原子力空母に至っては10万トンを超える。
11500トンでVTOL/STOL用空母、というのはこのHTMSメークロンと同じで
船体の大きさに不釣合いに欲張った内容と言える)
お次は戦闘指揮所から見た、前部マスト。
下の見張り台上にあるのは探照灯。
戦艦などでは直径1mを超えてたりしますが、
この艦ではそこまでのものではないようです。
その見張り台から手前に飛び出した、
頭の丸いカンヅメみたいなものは檣灯(しょうとう)、
いわゆるマスト灯で、夜間航行時に衝突防止用に点けるもの。
当然、戦闘行動中は例外です。
そこからマストのテッペンまでに、
白い竹とんぼみたいなものが二つ見えてますが、
これは航海用の回転レーダーアンテナでしょう。
サイズ的にどうも民生用レーダーの転用に見えますが、詳細不明。
当然、戦後に搭載されたもの。
マストの横竿から垂れ下がってる綱は
信号機掲揚のためのものだと思います。
測距儀のアップ。
中央のカバーはホントにたただのカバーで、
本体は横一直線の筒状のものです。
両脇に開いてる穴が対物レンズ部。
測距離儀については、以前書いたここら辺りを見てください。
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