■武器輸出三原則適用外



その前にあるのは磁気コンパス。
左右の赤と緑の玉は防磁というか
地磁気と周辺の鉄器の干渉で生じる誤差を防ぐための装置らしいですが、
詳しい原理は私も知りませぬ。
中央の赤いメーターみたいのは水平を確認するための水平儀。

艦船用磁気コンパスのデザインは、昨年アメリカで散々見たように、
20世紀初頭からほぼ変わってないので、
てっきりこれも建造時のものと思っていたんですが…



下の銘板には1985年7月の文字が。
あれ、となると戦後かなり経った後のものではないですか。
下には大阪日本の文字が見えてるので、日本製ではありますが、
ネットで検索してみた限り、日本航海計器なる会社は現存してないようです。

とりあえず磁気コンパスは武器輸出三原則の例外だった、という事ですかね。



ちなみに盤面はこんな感じで、やや古風ではありますね。



で、艦橋の中央部にあったこれが多分ジャイロ・コンパス、
この艦のマスター・コンパスだと思われます。

コマ(ジャイロ)を回すと、回転に必要なエネルギーがある間は、
垂直に直立したまま回り続けます。
この回転軸を一定方向に保つ、という特性は、
コマを斜めに傾けて回せるような台座を作れば、
その姿勢でも維持されます。

日本で自由に回転する台座(三軸の台座)に入れたコマを
北極星に向いた軸で回し、これにエネルギーを供給し続ける
電動モーターを取り付けたとしましょう。
この状態でアメリカまで持っていっても、
コマは北極星の方に向いた軸を中心に回り続けている、
つまり常に北を指すわけです。

やや大雑把な説明ですが、これがジャイロコンパスの原理となります。
ただし、回転するコマに触ると回転がブレてしまうように、
外部から新たな力が加わると回転軸がズレてしまうので、
ここら辺りの設計には一工夫が必要となります。
なので、上の写真のように台座から直接力が加わらないような
独特の構造になっているのが普通です。



船舶用ジャイロ・コンパスは
第一次大戦時から既に採用されてましたから
建造時からこの艦に搭載されていたとしても不思議はないのですが、
その銘板は擦り切れてしまっていて、全く読めず。

よって、これが建造時のものかは断言できませんが、
ここまで磨り減ってると言う事はその可能性は高そうです。
ちなみに下の方にかろうじて
TOKYOの文字があるようにも見えますが…


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