■艦首部の眺め



こちらは錨の投錨、そして収容用の装置類。

右端の一番大きい丸い部分が巻き上げ機、ケーブルホルダーで、
先に見た甲板下の機関によって回転し、錨鎖を巻き上げる装置です。

錨鎖は左右で二本あるのですが、先の巻き上げ機関部で見たように、
1400トン程度の艦用なら一基で巻き上げてしまい、
錨鎖は、斜めのパイプで繋がった左側の円筒形部分(鎖管)に収容されてます。
(中央の大き目の円筒は予備の錨鎖やもやい綱を繋ぐものらしい)

ついでに、右側のケーブルホルダーの上に
糸巻き状の物体が乗っかってますが、
これがもやい綱を巻き上げるキャプスタンで、
小型艦では、錨の鎖も、もやい綱も
一つの機関で巻き上げるようになっていたようです。
巡洋艦クラスあたりからは、両者とも専用の装置が設置されたようですが。

ちなみに、帰国後に写真を見て気が付いたのですが、
画面中央のやや左上、甲板端に
チョコンとやや小さめの二つの出っ張りが見えてます。
(右の鎖管の上)
おそらく例の白い水中飛行機、防雷具(パラベーン)の
取り付け部でしょう、これ。
あの中にロープを流すローラーが入ったもので、
となるとこのクラスの艦でも艦首の横から
防雷具(パラベーン)を牽引できたんですね。
初めて知りました。

やはり現物を見ないと判らない事って多いなあ、と思います。



錨鎖が飲み込まれてる二つの穴がホースパイプで、
この穴から艦首横に張り付いてる錨まで繋がっています。
艦上に穴が開いてると危険なので、フタがされてますが、
これが現役時代からのものか、博物館として公開された時に
安全対策として取り付けられたものかはわかりませぬ。

中央を走ってる鎖は予備の錨のもので、本来はあまり使わないと思われます。
ちなみに上の写真で見るとこの鎖は
巻上げ機、ケーブルホルダーに繋がっておらず、
おそらく人力で引き上げてたんじゃないでしょうか、これ…。



艦首部。
ここにもお花の飾りが。
ここまでくると、偶像崇拝ではなく、精霊崇拝(アミニズム)に近く、
タイは仏教国、というのは微妙に怪しい気がしてきます。

その花飾りがついたのが艦首旗竿。
上に付いてるのは航海灯でしょう。
そのコンセントが左下についてるのも注目。

ちなみに、下に見えてる鎖を通すフェアリーダー(カバー)が
前後にズレた構造になってるのは、この旗竿を
ちょうど艦首中央部に立てるための工夫みたいです。
微妙に細かい工夫があるな…



艦首部から振り返るとこんな感じ。
甲板端で右側一番手前に見えてるのが、
先に説明した防雷具(パラベーン)取り付け部。
同じものが左側にもありますね。

こうして見ると意外に近代的で、戦後の護衛艦、
と言われても、結構納得しちゃう気が。
1960年代くらいまでは、それほど小型艦艇って、
進化してないような気がします。



艦首部でもUSSRを使って見ました。
…うーん、やはり微妙…。

といった感じで今回の本編はここまでです。


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