■艦体後部へ
その前、水兵さんがタムロしてた横に、
何の説明もなく置かれていたこの白い物体は防雷具(パラベーン)。
その手前の順路説明用らしい看板を支えてるのは
主砲用の12cm砲弾ですが、こういった演出は英米式で、
後で見る生まれ変わった王立空軍博物館と併せ、
あちらに視察に行ったな、というのが感じられます(笑)。
この機材も貴重な戦前の日本製で、
おそらく中防雷具の三型あたりだと思います。
艦船模型などで砲塔横などに置かれてるのがこれですね。
これは水中の係留機雷の係留索を切断するもので、
主翼と尾翼のようなものがありますが、空を飛ぶわけではなく、
艦尾から(艦種によっては舷側から)曳航索により水中を引っ張って使うもの。
機雷は通常は水に浮くように出来てるのですが
(潜水艦の待ち伏せなど、特殊例を別にすると海底に沈んじゃ意味が無い)
水面に浮いてると、敵もバカではないので、これを避けてしまいます。
さらにその状態だと、爆圧の半分が空気中に逃げてしまうため、
高密度の水中で爆発させるより、その衝撃波の破壊力が落ちるのです。
なので機雷には一定深度で浮遊するように、
オモリがついており、これで水中を漂ってました。
(水中にオモリを打ち込んで、固定されるタイプもあり)
この状態では発見しても海上からは手が出せないので、
この防雷具(パラベーン)の出番となります。
これ、よく見ると前部の三角形に組まれた板の上に、
U字型のカッターが付いており、ここで機雷の索を引っ掛けて、
切断するようになってました。
オモリ、あるいは海底に拘束する索が切断されると
機雷は浮いてきますから、
これを機関砲等で撃って破壊する、という段取りなわけです。
ただし、一定距離以上に機雷に近づけば普通は爆発しますから、
これの使い方はかなり難しかったはずです。
さらに見えない水中の機雷にどうやって防雷具を誘導するんだ、
といった部分も含め、ここら辺りもあまり資料が残ってない部分で、
正直よく判りませぬ。
そこから後部に向うのが順路です。
右上のロープ巻き取り用の絡車(らくしゃ)に
キチンとロープが巻かれていて感動。
いやこれ、極めていい状態での保存ですよ、ホンマに。
ただし、この部分は、唯一見学ができない艦上構造物です。
どうも下の部屋部分を売店してしまった(この裏にある)からのようですが、
ちょっと見たかったですね。
この上に第3砲塔や、例の後部操舵輪などがありますし。
その部屋部分の横にあるのは消火用のホースか、
あるいは海上給油用のパイプか、よくわからず。
上にある赤いパイプは消火用の設備だと思いますが、
これも確証はなし。
さて、そこから艦尾に向います。
ご覧のように甲板は鉄板むき出しで、あれ、木片甲板ではないのか、と驚く。
元々こうなのか、木片甲板は維持管理が大変なので、
剥がしてしまったのか、どちらかはわかりませんが…。
正面奥に見えてるキノコ状のものは艦内の換気用の通風口。
ちなみにこの下辺りが機関室のはずですが、
先に説明したように、そこには窓がないので入れません(笑)。
甲板後部に来ました。
ここで見えてるのが最後部の第4砲塔でその奥に機雷が見えてます。
ちょっと注意して欲しいのが真中上のヒサシで、
これは艦前部にもあった波除と同じもの。
波除って後部にも付くものなのか、と初めて知る。
が、考えて見ると日本の同じようなタイプの艦に、こんな波除は無い。
ひょっとすると、何か他の目的もあったのか?と思うも、
これまた詳細は不明でございます。
手前の窓にも注目で、こういった丸窓に上に簡単なヒサシが付いてる、
というのが日本海軍の標準的な軍艦の窓です。
その手前、波除下の部屋のドアが開いてました。
ちょっと覗いてみますか。
ついでにドアの内側に付けられたX字型の補強材、
アングルバーにも注目。
私は日本艦については素人ですが、日本の水密防壁の
アングルバーがX字型というのはあまり聞いた事がなく、
これ、オリジナルのではない可能性もあります。
まあ私が知らないだけで、
こういったものもあったのかもしれませんが。
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