■まだ続くドイツづくし
そんな中に置いてあったドイツの初等練習機、ユングマン。
ただしこれはスペインでライセンス生産されたCASA E3Bとのこと。
ドイツの傑作練習機で、このスペインはもちろん、
日本でもライセンス生産が行われています。
その先にあったスピットファイアのMk.I(1)。
ここら辺から奥まった場所となり、
どんどん暗くなって、撮影条件は厳しくなります。
とりあえず、Mk.Iはあちこちにあるからいいやと、撮影はあきらめる(笑)。
その隣にあるのがこれ、Me-109のE-3。
現存してるMe-109はG型以降が多く、E型は意外に貴重です。
バトル オブ ブリテン時の主力だったタイプですね。
この機体は250kg爆弾を搭載可能とした戦闘爆撃型で、
1940年11月27日にイギリス本土を襲撃した際に被弾、ラジエーターをやられ、
イギリスの基地に不時着したのを鹵獲されたもの、との事。
先に紹介したイタリアのCR-42も40年11月の鹵獲ですから、
この月は鹵獲機のアタリ月なんでしょうか。
これも貴重な機体、ユンカース Ju88のR-1。
Ju88も15000機以上造られたとされながら、現存機は少なく、
まともなコンディションを維持してるのはこの機体と、
アメリカ空軍博物館にある機体の2機だけでしょう。
このJu88は1942年に最初は爆撃型のA-1として造られ、
1943年になってから、レーダーを積み込んで改修、
夜間戦闘機型のR-1にされたものらしいです。
1943年の5月に鹵獲されたのですが、入手の経緯がユニークで、
乗員がイギリスへの亡命を企て、自らイギリスまで飛んで来た機体です。
43年の5月9日夕方にデンマークから出撃、
間もなく司令部に右エンジンから発火とウソの報告を送り、
直後に高度を落として、ドイツのレーダーから見えなくなります。
そのままスコットランドのイギリス基地を目指し、
イギリスのレーダー網に引っかかって迎撃機が飛んで来ると
着陸用の脚を出してから、機体を左右に振って降伏の意を示し、
後は迎撃機の誘導にしたがい、イギリス空軍の基地へと着陸。
なので、この機体はほぼ無傷でイギリスの手に入ったものです。
しかし現役のパイロットたちがいきなり
敵国に亡命するもんだろうか、と思ってしまうとこですが、
どうもこの時の乗員はもともとイギリスに内通していたスパイで、
活動が厳しくなってきた事もあり、
最新型レーダーを積んだ機体を手土産に飛んできたのだ、という説もあり。
その機首下面を。
機体下部分の機銃が入ってる出っ張り、えらく有機的というか、
グニャッとした形状で、もしかしたら何かにぶつけて凹んだのか、
それとも元々、こんな奇怪な形状だったのか…。
ちなみにこの出っ張りの後半部分の周りは窓になっていて
機内から外が見えるんですが、銃は前を向いてるのに、
後ろの視界を確保して意味があるんでしょうか。
銃のメンテナンス作業時の明り取りかとも思ったんですが、
これ、夜間戦闘機ですし…
しかも良くみると、アンテナの間からも1門、機銃が見えてます。
この微妙な1門の薬莢排出口が見えないのも気になるところ。
搭載されていたレーダーはリヒテンシュタインの初期のタイプ、
FuG 202 Lichtenstein
B/Cとのこと。
機首のアンテナ、それぞれの受信部に微妙な角度がついてるのも、
最初からなのか、保管してるうちに曲がっちゃったものなのか、
気になりますが、これもよくわからず。
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