■大英帝国海軍は考えるのだ



まずは一つ下の第3階層へ。
そこにあった進水モデル。
進水時のベルファストの状態を再現したもの、との事ですが
えらく大味な模型でして、何のためのものかはよくわからず。



この第3階層は公開されてるエリアがあまりなく、
ここもこういった侵入禁止の柵がグルッと取り囲んでいます。



その先には下の第4階層に下りる階段が。

実はこの下が艦橋とならんでこの船の頭脳とも言えるエリアになっており、
ここがやられたらオシマイ、ってことで最も装甲の厚い艦の底部に置かれているわけです。



案内ではジャイロコンパス室となってましたが、最初にあるのはこれ。
transmitting roomで、日本語にするなら情報伝達室、というとこでしょうか。

何を伝達するのか、というと、敵艦に主砲弾をブチ当てるのに必要な情報です。
通常の兵器では照準にあたるデータで、それをここで計算して、主砲に伝えます。
主砲砲塔内では、ここから指示されたデータ通りの数値にあわせ射撃を行うのです。
(ここから直接主砲に行ったのか、一度艦橋屋上にある戦闘指令所を通したのかは不明)

画面中央にデーンと居座っているのは砲撃用のアナログコンピュータ。
歯車による機械式計算機ですが、どうもこの構造といい、ハンドルが付いてるのといい、
科学博物館で見た微分解析機(Differential Analyser)の一種ではないか、という気も。
弾道の計算は微分方程式を解くことになるはずですし。

ます最初は、レーダーを使って目標の現在位置を確認します。
遠距離を動いてる相手に砲弾を撃ち込むわけですから、
砲弾到達までに相手の位置は動いてしまいます。
なので、現在位置とさらに進行方向、その速度まで計算で出す必要があるです。
目標の位置を一定時間を開けて2度確認し、
その移動距離から速度を計算で出します。

初期の頃は方位(目標の方向)の精度が悪かったので、測距儀を使って目視でも
データを収集していたと思われるのですが、GHz以上の周波数を使えるレーダーの登場で、
その精度も高まり、以後はレーダー単体で目標の情報を収集するようになります。
ベルファストも、大型の測距儀は搭載されておらず、全てをレーダー単体で行っていますね。

で、レーダーなどからの各種データは全てこの伝達室に集められ、
この真ん前にある計算機を使って主砲をどの上下角で、どの方向に
どれだけの力で(火薬の量で調整)撃ち出せばいいか、を求めるわけです。



こんな感じに。
この1台の計算機に6人の人員が配置されてた、という事ですから、
まあ戦争においては計算も大仕事だったわけです。

ちなみになぜかこの仕事は海兵隊員(おそらく艦内の治安維持用に乗ってた)が
担当したそうなんですが、理由は不明。

NEXT