■破壊力はすごいのだ



これが弾を込める作業段階。
トレーを尾部の前に持ってきて、尾栓を開けて押し込むわけです。
砲弾、ご覧のようにあまり大きくないんですが、これで直径6インチ、重量51kgあるそうな。

尾栓もかなりの厚さの上、ネジ山のようなものが見え、
これを回してガッチリ蓋をするのだ、という感じですね。
実際、すさまじい爆圧がかかるでしょうから、このくらいは必要なんでしょう。

ちなみに戦艦や巡洋艦などの大口径主砲弾はそれを撃ち出す装薬が入った薬莢がありません。
これはあくまで弾頭部だけです。
装薬は装薬で、別のケースに入ったものがあり、目標までの距離ごとに
必要なだけ、弾の後から詰め込みます。
この写真だと、砲の右側に見えてる赤っぽい筒が装薬入れです。



これが砲弾を流す樋。
奥に砲弾を下から引き上げて来てる巻き上げ機があります。

手前に2本見えてる赤っぽい筒、これも装薬ですね。



そこから振り返った位置、砲塔全体を見まわせる場所に、指揮所らしきものが。
手前に置いてあるのは予備の砲弾なんですが、この砲塔内部、かなりの数の
こういった予備の弾が転がってました。

安全上、問題がある気がするんですが、これが展示の演出なのか、
実際にそうだったのかはわからず。



指揮所にの席に座ってみると、その上にあった指示板。
これは各砲等の向き(角度)を示すもので、
左が最後部の砲等(ここ)、その横が上の砲塔です。
細かい目盛りが付いていて、現在、砲塔が船体に対して何度の角度を取ってるか、
正確に読み取る事ができます。

と、なると砲塔の左右回転は、射撃管制室から連絡を受けたこの席に居た係りが
この目盛りを見ながら操作してたんでしょうかね。

ちなみに、現在この砲塔のみ少し左を向いてるような表示になってますが、
実際はこれも正面、艦の中心線方向を向いてます。
つまり、この装置、残念ながら壊れてますね。

で、ご覧のように、この砲塔中は外なんて見えない、完全密閉空間ですから、
その仕事は艦内にある射撃管制所からの指示通りの方向に砲塔を向け、
指示通りの上下角を取り、指示通りの距離分の炸薬を詰めてドカンと撃つ事でした。

目標に当たるかどうかは、まず射撃管制所の目標方向と距離の指示が正しいこと、
そしてこの砲塔内の各係が言われた通りの数字を守ること、
さらにそれを示す各計器がキチンと正しい数字を示している事が必要になります。

…戦艦とか巡洋艦の主砲を命中させるというのは、
ピストルやライフルで目標を狙うのとは根本的に異なるわけで、
当然、なかなか当たらない事になるのです。
実際、実戦では5%の命中率で御の字の世界でしたから、
100発撃って、95発は海の藻屑と消えるのが海上砲撃戦なのでした。



なので、戦闘中に射撃管制所が損害を受け、目標指示が出来なくてなってしまうと、
もう完全にお手上げで、こんだけの巨大な船体はただの鉄の塊と同価値になってしまうのです。

さらに射撃管制所は、レーダー、測距儀を使って目標位置を掴みますから、
艦橋上部にある、これら脆弱な装備が損害を受けたらアウトですし、
さらに電気系統などがやられてもオシマイです。

実際、ソロモンの夜戦で戦艦サウスダコタが機関も主砲も健在のまま、
戦場を離脱するはめになったのは、それらへの被弾で、
主砲の射撃管制を行う術が無くなってしまったからでした。

使いにくい兵器なんですよ、ホントに(笑)。

その対策として、この指揮官席の横の天井には、写真のようなハッチがあり、
いざとなったらそこから直接見て撃つ気だったんじゃないかなあ、と思われます。
右側に座席があるので、脱出ハッチではないでしょう。
おそらく測距儀が通常積んであり、それでやる気だったのかも。

だたし、こんなんで照準をつけても、100発撃ったところで、一発もあたらなかったでしょう(笑)。
気休め、と考えてよいと思います。


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