■戦後のイギリスへようこそ
さて、このフロア、最後の展示がこれ。
戦後のイギリスと科学を主題とした、新しい英国を造る(Building a
new britain)でした。
ちなみに2階(日本式の3階)だと、ここが例の回廊部分の展示となります。
新しいイギリスの皆さん。
上からぶら下がってるのは例の三角翼爆撃機、ヴァルカンの風洞模型。
グランドフロアにはレーダー反射テストの模型がありましたから、
そんなに好きなのか、ヴァルカン…。
一番奥の航空機エンジンはネイピア社のターボプロップ、ナード(Naiad)のプロトタイプ、
との事でしたが、知らんぞ、そんなエンジン。
調べてみたら、どうも最終的には製造がキャンセルになったタイプらしいです。
で、手前の宇宙服みたいなのは例の王立航空省が開発していた
高高度、高速機用の飛行服。
ここまで来ると、宇宙服一歩手前ですが、あれ、これも1956年製だ。
で、何気に地味な一番左のボンベは、ヒラリーとテムジンが
エベレスト初登頂の時に使った酸素ボンベ。
もう少し、立派な展示にしてあげてもいいんじゃないでしょうか、これ…。
ちなみにこのボンベは、航空機の酸素ボンベを開発していた
チームが造ったものなのだとか。
その隣の長細い爆弾、なんか見た記憶が…と思ったら、
コスフォードにもあった戦術核爆弾、WE177ですね。
まあ科学といえば科学なんでしょうが、自慢するようなものではないと思うんですが。
独自開発する能力もなかったんだし。
で、注目はその下の、なんだがボロボロになった金属板。
これもコスフォードのトコで書きましたが、これは例の世界初のジェット旅客機コメットが、
1954年、地中海上空で空中分解、墜落した時の機体の外壁です。
よくこんなの展示してなあ。ある意味、勇気ありますね。
この外壁は墜落原因究明のために引きあげられたもので、ご覧のように、
この時期のコメットは客室の窓が四角いタイプとなってます。
これは窓以外の各種ハッチも同様でした。
その1954年の事故の最初の破壊状況を示す模型。
この地中海で墜落したコメットは、機体上部にあるメンテナンスハッチ周辺から
金属疲労によるクラック(ひび)が広がったと考えられてます。
高高度で機内を与圧した結果、このクラック部が内部からの
圧力に耐えられなくなってハッチと外壁が吹き飛び、風船を針で刺したようになって
機体が爆発的に破損した、と結論づけられたのでした。
これ以降、航空機の窓やメンテナンスハッチは
角が丸いタイプに置き換えられる事になります。
ちょっと驚いたのがこれ。
航空機用のレーダーというのはわかりますが、
これは皆大好きヴァルカン爆撃機の後部警戒レーダーです。
後部警戒レーダーなんて、簡単な棒アンテナのもんだろう、
と思ってたんですが、爆撃機だと、首ふり式パラボラアンテナ付きという、
かなり本格的なものなんですね。
こんなの、初めて見ました。
NEXT