■とにかく横断するのだ
…で、終わらない(笑)。
ブルネルの野望と進撃はまだ続くのです。
彼らの野望その2、グレート・ブリテン号(模型がなかった…)ではスクリュー推進を採用、
船体もほとんどを鉄製にし、さらなる大型化に成功、ますます自信を深めます。
ちなみにこのグレート・ブリテンで使われる事になったシャフトの
製造のために、例のネスミスの大型蒸気プレス機が製造される事になったのでした。
ちなみに、ブルネルの設計による大型蒸気船3隻のうち、
このグレート・ブリテンのみは現存しており、ブリストルで展示保存されてます。
ここに模型が無かったのは、私が見つけ損ねたのか、
現物が残ってるからか、のどちかが理由でしょう(笑)
さてその後、ブルネルは新たに
イースタン蒸気航海社(Eastern
Steam Navigation
Company)を設立、
その集大成とも言える最後の船の建造に取り掛かります。
それが当時としては破格の超大型船、グレート・イースタンでした。
ブルネル、とにかく船の名前にグレートをつけないと気がすまない人らしいな…。
というわけで、これがそのグレートイースタン号。
1858年建造ながら船体のほとんどは鉄製で、総トン数18915トン。
4000人の乗客が運べる超大型船で、これまた当時世界最大の船でした。
ちなみに日本じゃ安政の大獄が始まった頃ですから、まさに別世界の話(笑)。
グレート・ブリテンでスクリュー船に挑んだブルネルですが、
この船では外輪とスクリューの両方を搭載しました。
当時のスクリューでは出力が足りない、という面と、川などの浅いエリアへの
乗り入れを考慮したため、とされます。
ちなみにさらに保険として、帆船のような帆を搭載していたのですが、
さすがに1万9千トン近い船体を帆の力で動かすのは無理があり、
ほとんど実用に耐えなかったようです。
そんなグレート・イースタンですが、さすがに時代を先取りしすぎた面があり、
建造はなかなか進まず、その結果、会社は経営危機に陥ります。
なんとかそれらの問題は乗り越え、完成にこぎ付けた後も
進水に失敗するは(重すぎて水面まで滑り落ちなかった)
試運転でエンジンは爆発するはで、設計者のブルネルは心労によって、
間もなく亡くなってしまいます。
さらにアメリカへの大西洋航路に投入されるものの、
皮肉にもこんなにたくさんの乗客は存在せず(涙)、
あっという間に会社は倒産の憂き目にあい、この船は競売にかけられることに。
ちなみに、アメリカではあまりの巨大さで話題と成ったため、
入場料を取って内部を公開したところ、大西洋航海の運賃より
はるかに儲かってしまった、という話もあり…。
で、当時、電信の発達により、ヨーロッパとアメリカの間に
海底ケーブルの施設が計画されており、その大量のケーブルを積み込むのに
最適な巨大船だったこのグレート・イースタンが採用され、
以後、1870年代まで活躍する事になるのでした。
ここからはエンジン類を。
オリエント号という1879年建造の蒸気船に積まれていたエンジンの1/20サイズの模型。
1/20でこれだと、現物はどんだけでかいんだ、という感じです。
でもって、こっちは例の世界初の蒸気タービン船、タービニアに搭載されていた
1894年製、パーソンズによる蒸気タービンの実物。
最初に積まれた方なので、例の円周流式タービンです。
これがイマチチだったので、後に通常の蒸気タービンに置き換えられてます。
ちなみにこのエンジンサイズからわかると思いますが、
タービニアはタグボート位の小型船でした。
で、これはさらに発展したガスタービンエンジン。
基本的にはジェットエンジンと同じ構造です。
ジェットエンジンでは後部に噴出する噴流の反動で推力を得ますが、
ガスタービンでは、その噴流を使ってファンを回し、その力でシャフト(軸)を回して、
エネルギーを回転運動に置き換えています。
熱エネルギーを運動に変換する効率は最強レベルなんですが、
燃料も凄まじく食うので、軍艦や高速船などが主な用途になってるようです。
これは1947年、イギリス海軍が実験に使った世界初の艦船用ガスタービンエンジンらしいのですが、
肝心のエンジンの名前がどこにもありませんでした…。
ちなみにM.G.B.2009というイギリスが第二次大戦中に使用していたモーター・ガン・ボート、
要するに小型の魚雷艇から魚雷を外し、機関砲類を積んでたボートで実験は行われた、との事です。
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