■イギリスは蒸気だけじゃないんだぜ
芝刈り機。
蒸気機関で動く芝刈り機もあった、という話ですが、これは単純に手押し式。
妙に迫力のあるデザインで、ナマハゲとかが、悪い子はいねえかー!と叫びながら
これを押しながら向こうから走ってきたら、速攻で土下座で謝罪しちゃおう、
といった怖さがありますです、はい。
さあ、来ました。
チャールス・バベッジ(Charles
Babbage)の
ディフェレンス・エンジン(Difference
engine)、その1832年製の試作1号機です。
これを元に、さらに高度な2号機が作られるのですが、
そっちは彼の生存中には完成しませんでした。
そちらはまた後で出てきます。
大雑把に言ってしまうと、足し算、引き算と言うレベルではない、
高度な計算が行える歯車式の計算機です。
この写真だとよく見えませんが、各歯車には数字が貼りこんであり、
それを見て計算を行ったり、演算の結果を得たりします。
ただ、その汎用性の高さから、コンピュータの元祖みたいな紹介をされる事がありますが、
その動作原理も構造も、現在のデジタル コンピュータとは
全く異なるもので、基本的に両者に繋がりはないと考えていいでしょう。
で、このDifferenceは数学用語の差分の事で日本語にすると差分機関なんですが、
なぜか階差機関という訳語が一般的になってますね。なんでやねん。
余談ながらDifference は差分、Differential は微分という、
よくわからん訳語を考えた人は地獄に落ちるがいいと思います。
ついでにこの“エンジン”は、上のハンドルを回す運動エネルギーを
計算に変換する、という意味だと思うんですが、
そういった意味もエンジンにあるの?と聞かれれば、
私の英語力ではそこまではわかりません、と応えましょう(涙)。
ただ、どうもこれ、後から造られたレプリカのような感じがするんですが、
そこら辺の説明は特になかったので、オリジナルなのかな?
これはフランスの製品ですが、ダゲレオタイプのカメラ。
ダゲールが開発した世界初の実用銀塩カメラです。
ちなみに、カメラそのものはダゲールの発明ではありません。
彼が完成させたのは銀塩式の感光板の方、つまり写真を発明したわけです。
カメラそのものは、カメラーオブスクラとして、はるか以前からあり、
感光板の代わりに紙を置き、裏からそれをなぞる事で、絵を描くのに使われてました。
変わったとこでは、天体観測時の星の記録とかにも用いられています。
(写真もない当時、惑星の正確な軌道を分析できたのは、これによる正確な記録があったから)
次は1820年代、馬車時代末期の、郵便用大型馬車(Coach)。
ロンドンからヨークを結ぶ路線で使われていたものだとか。
イギリスは鉄道の国であり、その発展によって国中をネットワークしてしまうのですが、
それ以前から、こういった長距離馬車による交通網の整備が進んでいたわけです。
でもって、ああ馬車か、と馬車にしてはいけない。否、馬鹿にしてはいけない。
動力こそ馬ですが(笑)、当時の石畳の道を平均時速20kmで走ったとされます。
時速20kmと馬車にしてはいけない。否、馬鹿にしてはいけない。
ご覧のように、当然、ゴムタイヤなんてない時代に、
石畳の上を時速20kmで走るとどうなるか。
ヘタすりゃ車輪からの衝撃で車体が分解してしまいます。
では、どうしてそんな速度がだせたのかしらん。
良く見ると、この馬車、車体部分が、全く別ブロックになり、
車輪部分から浮いてるのがわかると思います。
この車輪と車体の間に、サスペンションが入ってるのです。
現代の自動車やトラックと同じ仕組みで、
ボディへ伝わる衝撃を、最小限にとどめ、高速走行を可能にしてるわけです。
欧米で自動車があれだけあっという間に進化した理由の一つに、
エンジンとゴムタイヤを別にすれば、その必要な装置の多くが、
馬車時代にすでに開発済みだったから、というのがあります。
ついでながら我々が自動車用語だと思ってる言葉の多くは、
実は馬車時代から使われていたりするわけです。
多分、プレス機。
すみません、解説板の撮影を忘れて詳細不明。
そういや、宮崎版ホームズで、モリアーティ教授が贋金造りに、
こんなプレス機使ってましたね…。
何気にプレス機も先端技術の一つで、
各国の、この機械の能力が、第二次大戦中、
航空機の性能を決める、結構重要な要素となりました。
ここら辺の事情は、現在も一部残ってるみたいですね。
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