■Vボマーシアター



で、そこから少し視点を上に移動すると、こんなモノが(笑)。
Vフォースの最後の1機、ヴァルカン爆撃機です。これはロンドンにもありましたね。

これ、上の階の床上に収まりきらず、下の階の上に飛び出してしまっています…。
なんか空母への着艦に失敗した艦上機みたい。



展示の反対側に回ると、かろうじて全体を写真に収める事ができます。
手前に見えてるのは、下の階で展示されてるミサイル。

1952年に初飛行、1956年に配備開始となったのがこのヴァルカンで、
ランカスターでおなじみ、爆撃機の名門アブロ社の機体だけに、
136機とVフォ-スの中で最大の生産数となりました。

ちなみにこの機体は、フォークランド紛争で、
超長距離爆撃作戦に参加した5機の中の1機だとか。

もっとも最初の出撃直後にトラブルが発生、引き返したため、
実際にフォークランドまで飛んだことはないようです。
この時は残りの1機が無事にフォークランドまで到達、
空港施設の爆撃に成功した、とのこと。

ブラック バック(Black Buck/黒い雄?)作戦と名づけれらたこの作戦は
大西洋上のアセンション島(Ascension)にある基地から出撃して、
片道6200km(笑)を空中給油を受けながら飛行(この時の空中給油機がヴィクター)
レーダーに電子妨害をかけながら、奇襲する、というものでした。
空港に対する3回の爆撃と、アルゼンチンのレーダー基地に対する攻撃を2回、
計5回の作戦を行ったようです。
(本来は7回だったが2回はキャンセルされたらしい)

その時取り付けられた対電子兵器用ポッド(ECM pod)がついたままになってる、
との事でしたが、この展示じゃよく見えん…。
当然、護衛機なんてない、その上、相手は対空ミサイルも持ってる、
という状況下に突っ込んで行ったのですが、この装置のおかげで、
完全な目くらましに成功、一機の損害も出していません。



ちなみに、この機体の爆弾庫は開いていており、中にモニターが設置され、
往時のヴァルカンの飛行ビデオが流されてました。

これ、ロンドンのヴァルカンでも、全くおなじ展示をやってましたから(笑)、
この機体の爆弾庫はビデオ展示に改造しやすい、といった特徴でもあるんでしょうか…。



天井からぶら下げ展示になっていたF-86セイバーのF4。
F4てのは、カナディア社でライセンス生産されたE型です。

しかし、普段見る事のできない角度ではありますが、逆さづりってのはどうなんでしょ…。

初期のジェット戦闘機、ミーティア、ヴァンパイア、がMig15に全く対抗できない、
と知ってショックを受けたイギリス空軍は、その後継機となるスーパーマリンのスウィフト、
ホーカーのハンターが実戦配備されるまでの数年間のつなぎとして、
急遽、F-86セイバーの導入を決定、アメリカからその貸与を受けます。
これは1952年12月から引渡しが始まり、54年5月までで終了となりました。

この時、イギリスに渡ったのはカナダでライセンス生産されていた
カナディア社製のF4(Mk.4)で、これはF-86Eのライセンス生産版です。
製造されたF4のほとんどがイギリスに送り込まれたようで、
430機が西ドイツに駐屯していた部隊を中心に配備されました。

ただ、その後間もなくハンターが1955年から配備開始となり、
1956年6月まではには全機置き換えられてしまい、
イギリス空軍のセイバーは結局4年弱の運用で終わってしまうことに。

でもって、機体の金を出してたのはアメリカなので、
不要になった機体は、そのまま今度はイタリア、ユーゴスラビアに回されました。
イタリアでは1963年、ユーゴスラビアでは1970年くらいまで現役だったそうで、
この機体も、イタリアに保管されていたものを、1993年に引き取ったもの。



で、そのホーカーハンターのT7Aも宙吊りの刑にかけられてました。

この基地の玄関にあったハンターとはだいぶ印象が違いますが、
これは複座の練習機で、しかも横並びの座席配置となってるから。

イギリスはこの横並び座席の練習機が結構好きなようで、
ヴァンパイアの練習機型もこういった座席配置になってます。

ちなみに、このA型はそこからさらに改造がされ、
バッカニア用の専用練習機として、その計器が付けられたコクピットになってるとか。


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