■いろんな戦争をやった国だから
ここにもあったパナビア トーネードのP02。
これは、どうも本格量産が始まる前の、先行試作型の中の1機らしいです。
攻撃機型の、鼻が短いタイプで、湾岸戦争のからみでここに展示されてるみたいですね。
ただし、この展示機は湾岸戦争には行ってません。
それらの後ろに、ひっそりと置かれていた、フォッケ・アガリス社のFA330。
フランスの回転翼の間にも置いてあった、例のUボートが牽引して飛ばす無動力回転翼機です。
このドイツ海軍が誇る罰ゲームマシン、意外にいろんなとこで見かけますね。
ダックスフォードにもありましたから、イギリスだけで少なくとも2機持ってます。
世界中でカットモデルされてるジェットエンジンことユモ004。
Me262などに積まれた第二次大戦期におけるドイツのジェットエンジンですが、
この博物館でも例によって、あっちこっち切り取られたカットモデルにされてます。
つーか、ロンドンの博物館にもカットモデルがありましたから、
こっちのは普通の状態で保管しててもよかったんじゃないか、という気も。
で、その後ろに見えてたのが、これ。
ドイツの双発多目的機、メッサーシュミットMe410 A1U2。
これもコクピットはプロペラの後ろです。
ドイツ機なので、この太いプロペラのブレードも木製じゃないかと思うんですが、
触れなかったので(笑)、確証はなし。
ロンドンの博物館で、その暗さに泣いたバトル オブ ブリテン館にあったMe110の後継機。
が、この機体が運用される段階では、どうも双発エンジンの戦闘機は、
運動性に劣るから、まともに使えないみたいだ、という事になり、
この機体は単なる“駆逐戦闘機(destroyers)”としてではなく、
急降下爆撃も行えれば、偵察も行える、という多目的機に近いものとなりました。
実際は、最初にMe210という機体が造られ、その発展型がこのMe410なんですが、
両者はエンジンとそこから外側の主翼形状以外はほぼ同じ機体と考えていいようです。
ついでにメッサーシュミットの全盛期を支えた設計者、ルッサーがMe210の開発中に
メッサーシュミットとケンカ別れとなり退社したため、
メッサーシュミットの趣味全開な設計となったのがMe210でした。
でもって、当然、欠陥機となりました(笑)。
言われるほど酷くはなかった、という話もありますが、
ホメられた機体でないのも、まあ事実でしょう。
で、その欠陥をフォローし、さらにエンジンも強化したのが、このMe410となります。
ちなみに、ユニークな形状の機首とコクピットですが、
これは急降下爆撃を行うため、機首部に窓をつけて視界を確保したため。
コクピット下の機体正面部分も窓となっているほか、写真で見えてる鼻面にある
四角い部分も急降下時に地上が見えるようにと造られた窓です。
その下、機首下面に左右両開きのドアが見えてますが、これが爆弾倉のドア。
ここの上が操縦席なんですが、爆弾倉の上の床はガラス張りで(笑)、
これを通して、あの鼻面の窓から地表を見る、という感じになります。
つまり急降下中は爆弾倉を開けっ放しに状態となっていたはず。
爆弾庫の位置からして、投弾後はその反動で機首が跳ね上がり、
急降下姿勢から簡単に回復できたんじゃないか、と思いますが、
こればかりは実際に飛ばして見ないとわからないので、推測止まりとなります。
後ろから見たところ。
この角度から見ると、カッコいいですね。
ちなみに長年、これが唯一のMe410の現存機だと思ってたんですが、
どうもアメリカのスミソニアンがもう一機、レストア前の状態で保管してるみたい。
展示機は1945年の終戦時にデンマークの基地で押収された機体との事ですが、
それ以外はほとんど資料が残って無いらしく、詳細不明となってます。
Me410はパイロットと無線&銃手の二人乗りなのですが、
コクピットの後ろに後方防御用の機銃がありません。
どうなってるのか、というと胴体横にデッパっている砲塔に、
MG131 13mm機銃が左右一門ずつ入っているのでした。
砲塔に入ってることからわかるように、これは上下はおろか左右にも動かせ、
後席の銃主席からリモコン操作でコントロールする事が可能です。
…いろいろ、考えるところはある装置ですが、とりあえず、これが大活躍した、
という話は、まだ見たことがありません。
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