■それでも我々は実験するのだ
もうひとつ、ミーティアを使った実験機がありました。
ミーティアのT7の改造機。
T7はミーティアを複座にした練習型だったのですが、
500機近くがイギリス空軍に採用されたため、さまざまな用途にも使われました。
この機体は、マーチンベーカー社により、射出式座席開発用、
つまり緊急時にドカンと外に打ち出される脱出シートの開発、研究用に改造されたものです。
1949年、まだ新型といっていい時期に、最初はメーカーであるグロスター社に貸し出され、
熱帯地域用のコクピット冷房装置や、オートパイロットのテストに使われた機体だとのこと。
その後、1952年の1月に、射出座席のテスト用にマーチンベイカー社に貸し出されました。
打ち出す度に毎回キャノピーを吹っ飛ばしてたら不経済なので(笑)、
後部座席は剥き出しのオープンコクピットにされたようです。
あちこちのエアショーなどで、射出座席打ち出しショーを行った際にも使われたとか。
そのマーチンベーカー社の射出座席の展示。
実はこの下の解説パネル、ロンドンにもほぼ同じものがありました。
なんでここまで力を入れて展示するのかはわかりませんが、
RAFイチオシの展示物ではあるようです。
SEPECAT ジャギュア (Jaguar)
ACT 検証機(ACT
Demonstrator)。
英仏共同開発だった練習機&攻撃機のジャギュアですが、これはそれを元に造られた、
能動性操縦装置(Active
Control Technology
/ACT)のための検証用実験機で、
操縦系統は、全てフライ バイ ワイア、電子制御のものに置き換えられてる機体。
改造終了後、1981年10月から、ACTのテストを開始しています。
ついでに横からでは全くわかりませんが(笑)、主翼前部には、
F-18やF-16にあるような胴体横のストレーキ部が追加されてました。
能動性操縦装置(以後ACT)は乱暴に行ってしまえば、コンピュータを使った操縦補助装置です。
パイロットが操縦桿を動かした場合、それがエルロンなどに直結されていて、
そのまま反応するのではなく、間にコンピュータが入っており、
入力を受け付けてから、最適と思われるエルロンや舵のコントロールを電子制御で行います。
例えば、普通ならまっすぐ飛ぶのも困難な状態でも、操縦桿を中心に固定して置くだけで、
ACTが、あ、この人まっすぐ飛びたいのだ、と判断して勝手にエルロンなどを動かし、
自動的にまっすぐ飛ぶことができたりするわけです。
まあ、パイロットの操縦を補助する、というか操縦技術を強化する、という感じでしょうか。
現在の航空機には、この手の装置は必須となっており、
その初期実験機、というのがこの機体なわけです。
てな感じで、まだ続く実験機コーナーですが、さすがにちょっとしんどいので、
今回はここまでとしましょう。
オマケコーナーの余力も残して置かないと、なので(笑)。
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