■とにかく数は撃ったザンス
さて、その前にあるのが、例のメタボリックF-16こと
ノー(Nord)
1500 02
グリフォン(Griffon)。
1957年4月に初飛行と考えると極めて先進的なデザインなんですが、
問題は例によってこれもラムジェット熱にうなされた機体の一つで、
離着陸用などに使うターボジェットエンジンと、高速飛行時用のラムジェットの
二つのエンジンを搭載していた、という点でしょう(笑)。
ちなみにこれも1957年〜58年の怪飛行機のメンバーで1957年の
パリ航空ショーに展示されたようです。
この角度から見るとそれなりにスマートですが…。
ご覧のように正面方向から見ると横方向にえらく迫力のある胴体となっており、
コクピット周りは座布団に座った猫のような印象が。
ちなみに、コクピットの横に小型翼があるのにも注目。
この頃からデルタ翼に小型の前翼(カナード)を組み合わせてたんですね、フランス機。
つーか、1957年のデザインとしては、かなり先進的ですよ、これ。
実際、この機体、体形はちょっとアレながら(笑)、
目標としていた最高速度では、マッハ2をきっちり到達、
マッハ2.19の最高速度を記録しました(高度は不明)。
よって、機体デザインの基本的なコンセプトは正解だったのですが、
結局、ラムジェットがやはりネックとなり、開発は中止となりました。
ちなみに、この機体も右後ろに見えてるミラージュIIIのライバルで、
フランスのマッハ2戦闘機コンぺに参加しています。
つーか、このコンペ、すごい参加メンバーですな(笑)。
ついでに確証はありませんが、なんらかの形でF-16の機体デザインに
影響を与えてるような気もしますね、これ。
ダッソー ミステール IV(4)
A。
てっきりなんかの実験機だと思ってたんですが、
これも量産された戦闘機だそうで、その一号機との事。
なんだかミグ15を引き伸ばしたような機体ですが、よく知りません(笑)。
フランス、直線翼とデルタ(三角)翼の戦闘機しか造ってないと思ってたんですが、
普通の後退翼の機体も造ってたんですね。
IV(4)は1954年に製造が開始されたミステールシリーズの最終型のようで、
ミラージュIIIが出てくるまで空軍の主力を勤めてた機体だとか。
ただし、その間にシュペール ミステールという怪しい機体も造っており、
これは後で登場します。
ここからはまた試験機。
1948年に初飛行した、ヒューヘル デュビオ(Hurel dubios)
H.D.10。
一見するとただの変な顔の双尾翼の変なプロペラ機ですが、
良く見ると、主翼が異常に細いのがわかるでしょうか。
コクピット上の接続部を見てもらうとわかりますが、
奥行きがそれこそ30cmもないような変な主翼を使っており、
胴体から伸びてる補強も、おなじ幅を持っていて、
これも揚力を稼ぐのに使ってるみたいです。
うーん、ある意味、閉鎖翼なのか。
なんでまたこんな奥行きのない翼を、
というとこれは高アスペクト比のための実験機だったとか。
アスペクト比(縦横比)というのは、主翼の横幅と奥行きの比率で(横幅/奥行)、
これが小さい数字であるほど、飛行機が低速で飛行する時、
大きな障害となる誘導抵抗が小さくなってゆく、という特徴があります。
この比は、横幅/奥行ですから、主翼の横幅を長くすれば、数字が大きくなります。
このため、高速飛行を目的とせず、航続距離を稼ぎたい機体は
このアスペクト比を上げる、長い主翼を使う、という方法を採用してます。
無動力で可能な限り飛行距離を稼ぎたいグライダーなどがそうですね。
が、長くすればいいといっても、構造上、そんなに長い主翼は作れません。
ならば逆転の発想で、主翼の幅を縮めてしまえ、
というコンセプトで造られたのがこの機体(笑)。
いや、それはそうなんですが、操縦性とか、安定性とか、いろんなものが
犠牲になってると思うんですけど…。
一応、この機体はちゃんと飛んで、1954年まで実験は続いたようです。
量産はされてないようなので、イマイチだったんじゃないかな、
とも思うんですが、このデュビオさんは、こういった奥行きの無い主翼の双発機なども
造ってたりするので、よほどコダワリがあったんでしょうか…。
実験機展示の最後はこれ、ちょっとカッコいい機体、
イオシュ(HIRSCH)
H.100。
なんらかの実験機だとは思うんですが、詳細不明。
英語圏のWebを見る限り、エンジンテスト用の機体説と、
荒天時の飛行特性を知るための実験機説があるようですが、よくわからず。
この独特な形状にも何か意味があると思うんですが…。
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