■火力至上主義な彼ら



イギリスも1940年の段階から航空ロケット弾の開発を行っていました。

最初は対空兵器として運用する気だったようなんですが、
使ってみたらどうも当たらないぜ、という事になり、
やがて対地攻撃用に切り替えられたようです。

写真は3インチロケット弾に対地攻撃用の弾頭を搭載したもので、
攻撃目標によって使い分ける、かなりの種類の弾頭が存在したとのこと。
現在のように発射ポッドに入れて運用するのではなく、
1発ごと、主翼下の発射レールにとりつけたので、こんな形状でも大丈夫だったのでした。



で、この手の兵器を使う人といえば彼、イギリスのアゴことホーカー タイフーンのI(1) B。

ハリケーンの後継機として開発された期待の次期主力戦闘機だったのですが、
美しいまでに全くのダメ戦闘機であることがあっさり判明、使い道に困ったイギリス空軍は、
これを戦闘爆撃機として運用してゆくことにします。

これほどダメな戦闘機が実戦に投入された例も珍しいのではないか、
という位にヘッポコな機体なんですが、
なにせ自分の国の兵器を褒めることしかしないイギリス人、
ここの解説でもそこら辺は触れずに、タイフーンには低空の地上攻撃が最適な任務だった
くらいの事が書いてあるだけです(笑)。

液冷戦闘機の最大の弱点、ラジエターを機体の真正面の一番前(プロペラスピナの下)、
まさに撃ってください、という場所にドカンと搭載してる機体が、
対地攻撃に向いてるとは、個人的には考えかねるのですが(笑)。

それこそピストルの弾でも、ここに飛び込んで来たら
ラジエターに穴が開いて液もれ、オーヴァーヒートで、
どれほど機体をしっかり造っても何の意味もありません、という事になります。
とにかく撃たれまくる地上攻撃で、これは怖いですよ。

イギリス人がこの点に気が付かないとも思えないので、
絶対自国の兵器の欠点は認めないのでしょう(笑)。

…でもね。
イギリス人も、実はダメ戦闘機だったと考えてた証拠として、
3000機以上も造られた戦勝国の戦闘爆撃機なのに、
現存してるのはこの1機のみだったりします。

しかもこれ、戦中に性能テスト用にアメリカに送られていた機体で、
戦後、スミソニアンが保管してたのをハリケーンと交換で(多いなこのパターン)
イギリスに返してもらったものなのです。
(博物館の解説によればスミソニアンからのプレゼント、となってるが)

つまり、戦後、イギリスはこの機体を一機残らずスクラップにしてしまったわけで、
まあ、忘れたい、無かった事にしたい、という事だったのではないかな、と。
スピットファイアやハリケーンが掃いて捨てるほど残ってるのを見れば、
そう考えるほかない、と思うわけで。



と、ここでさっき見かけた女子学生の集団に再び追いつかれてしまう。
でもって、なぜか質問攻めにあうハメになり、
どっから来たの、何しに来たの、あんた何歳?みたいな会話が展開されました。

変わった子たちだなあ、と思ったら、
後ほどホテル近所の例のハラル ピザの店で
地元の子供達に再度質問攻めにされたので、
イギリスの子供たちってそういうものなのか?

ちなみに、インド系の子供、東アジア系の子供なども多く、
ロンドンは国際都市なんだなあ、と思ったり。



その先には実はこれも結構微妙な機体、
双発戦闘機のブリストル ボーファイター(Beaufighter)TFXが。
…ボーファイター、直訳すると色男戦士なんですが、何か他の意味があるんでしょうか…。

戦闘機としてはちょっとアレだったんですが、余裕のある機体設計だったので、
夜間戦闘機やら対潜哨戒機やらで使われました。

この機体は戦後に生産されたもの。
ボーファイター、1960年ごろまでイギリス空軍では現役だったようです。



その前に置かれていた自動装填装置付き6ポンド対戦車砲。
てっきりこのボーファイターに積んでたのか、と思ったら、
対艦攻撃用にモスキートに搭載されていたものだとか。
ここら辺の区別がよくわからんのですが、6ポンド砲ということは
57mm砲という事でいいのかしらん。

が、搭載した機体が完成した頃には対地攻撃は例の3インチロケットの採用が決まっており、
結局、対艦船用にまわされ、実際にUボートを沈めた事もあるとか。

右側にその弾丸が見えてますが、これ500mmのペットボトル以上の大きさがあり、
こんなの木製の機体のモスキートで撃って、機体は大丈夫だったんでしょうかね。


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