■苦労が必ず報われるなら戦争に勝ってたろう



これも説明不要であろう、ドイツの必勝祈願兵器、Fi103ことV1飛行爆弾。

この角度から見ると、尾部の上に付けられたパルスジェットエンジンの
空気取り入れ口前に付けられたシャッターがよく見えます。
飛行中、あれを開けたり閉じたりしながらエンジン内の燃焼を制御するのが
パルスジェットエンジンの構造です。

機首先端のプロペラは、距離測定用のもので、
これの回転数で飛行距離を計測して、目的地を目指しました。

V1は巡航ミサイルの元祖ともいえる兵器で、誘導装置に行く方向を入れて、
後は目的地まで片道分の燃料を入れて送り出せば、そこで墜落して爆発します。
弾頭には850kgの炸薬が積めたので、あの巨大なV2ミサイルと比べても、さほど劣りません。

が、誘導装置の精度が悪い上、低高度を飛ぶので撃墜されやすく、
これまたイヤガラセの域を出ない兵器となってます。




これまた地対空ミサイルのEnzian(エンチアン)。
Enzianてのは高山植物の一種。
でもってこれ、機体のほとんどは木製となってます。
ほんとに木のぬくもりが好きだな、ドイツのミサイル…。

この巨大な図体は、とにかく確実に4発エンジンの重爆撃機を撃墜するため、
500kgもの炸薬を積んだためらしいです。
これも本体のロケットモーターのほか、4本の補助ロケットが付きましたが、
どうもこのモックアップを造った段階で計画はキャンセルとなり、
実際に飛ばしてはいないような感じです。



てっきり、ドイツ空軍が戦闘機に積んで使った空対空ロケット弾だと思ってたんですが、
これは地対空ロケット弾のTaifun(タイフーン/台風)でした。

無誘導のロケット弾ですが、地上から高度10000mまで飛ばす予定で、
これを30発ワンセットにして88mm高射砲の発射台に接地、
そのまま88m対空砲の射撃管制システムの誘導に従って発射する気だったようです。
88m高射砲の後継兵器なのかもしれません。

が、これまた終戦には間に合わず(涙)。

ドイツの対空兵器って…




ブローム・ウント・フォス BV246 hagelkorn(ハゲルコーン)。
コンクリート製というユニークな構造の主翼を持つ滑空爆弾です。
hagelkornってのはひょう、あられの意味だとか。

さあ、ようやく空からの反撃(笑)、空対地兵器の登場です。
このアスペクト比の高い主翼でなんとなくわかると思いますが、
目標のはるか遠くから投下、滑空しながら突っ込む爆弾でした。
これなら、母機も対空砲火にさらされず、安全で、
計算上は高度7000mで投下すると200km近く先まで飛べ,
その突入速度は900km/h近くになった、との事。

が、無誘導で、そんな遠くから落として当たるのか、という問題もあり、
結局、1942年2月に開発はキャンセルに。

ところが、1945年の終戦まであと何マイル、と言う時期に、
これを対レーダー誘導爆弾にしよう、という計画が発生、
短波のレーダー波をたどって自力で突っ込んでゆく、という
誘導爆弾として開発が再開します。

ここに展示されてるのは、この後者の対レーダー誘導爆弾の方。

先端部に、そのアンテナと信管を取り付ける部分が見え、
主翼も根元も可動式で自力で目標に向かえる仕様となってます。

ただし、これも実戦投入前に終戦になっちゃうんですが…。


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