■お前フロント、あっし、リア



これもニムロド(カルフ )からの出土品で、さまざまなレリーフがずらりと。
元々は王宮周辺で発見されたものらしいです。
これもおそらくホンモノ。



確か武装した王様だったかな。
これも紀元前860年ごろのもの。

この横顔でヒゲ面のおっちゃんというのは、アッシリアのレリーフでは
やたらと登場するモチーフの一つです。
いろんな王様やら神様やらが描かれてるらしいのですが、
基本的に、みんな同じ顔に見えます(笑)。

ついでに、エジプトのように薄着のオネーチャンとかも皆無。
男道の国だったんですかねえ、アッシリア。

…行きたくないな、アッシリア。



解説の撮影を忘れたので詳細不明ながら、
変な人たちに左右を囲まれ、ハイになってるヒゲのおっさん。

左右に居るワシのような顔と翼を持った二人はアッシリアの神様、
ニスロク(Nisroch)で、農業を担当の神さんですね。

旧約聖書のイザヤ書によれば、
アッシリア最盛期最後の王様、センナケリブ(Sennacherib)が
暗殺されたのが、この神様の神殿である、とされています。

余談ながら、おなじイザヤ書によると、
超絶絶対神ヤハェ閣下が、エルサレムを包囲していた
18万5千のアッシリア兵を、一晩で完全殲滅してしまった事がありました。
この時の相手がこのセンナケリブ王です。
しかし、絶対神、ケンシロウ並みのワンマンアーミーぶりですね。

ちなみに夜戦だったため、現場のユダヤ人はぐっすり寝ちゃっており、
戦闘を目撃しておらず、朝起きたら敵が壊滅してました、という話になってます(笑)。
実際、この時のアッシリアの撤退は謎が多く、まあ、何かはあったんでしょう。

で、イザヤ書によれば、センナケリブ王は、
その直後に暗殺された、となってますが、
史実では、その後しばらく健在だったようです。



さて、そこからちょっと奥まった場所にあるのが、この部屋。

アッシリア末期の王様、アッシュールバニパル(Ashurbanipal)王によるライオン猟の
模様を描いた巨大としかいいようのないレリーフ。
アッシリア帝国の後期に首都が置かれたニネヴェ(Nineveh)から出土したものです。
紀元前645年ごろの作品とされますから、アッシリア滅亡まで秒読みに入った段階のもの。
あの壁面にずらりと並んでる板、全てが猟の様子を描いたレリーフとなっております。

余談ながら、ニネヴェも聖書に登場する街で、
ヨナ書によれば預言者ヨナが、その堕落を警告に行った結果、
素直に悔い改めて神の罰を受けずに済んだ町だ、とされます。
(日本語版聖書の表記はニネベ)
となると、当時のアッシリアで、ユダヤと同じ絶対神の神様を崇拝していた、
という事になるのですが、ホンマかいな、という気もします。
ユダヤ教とまで行かなくても、それに近い宗教を信仰してたのかな。

さらに余談ですが、ヨナ書は聖書で最も短い話の一つのくせに、かなり面白い内容です。

神から預言を与えられたヨナは、面倒だと思って(笑)トンズラを決行、
乗合船で逃走中、神さんに見つかってしまい、大嵐を食らう事に。
で、お前が原因か!という感じに他の客から手足を縛られた挙句に海に放り込まれ(涙)、
魚に飲まれて3日間そこですごし、
(ピノキオの元ネタ。ちなみに後のキリストも妙にヨナにこだわる。魚とか。好きだったんだろうか)
最後は根負けして、ヤハウェのアニキにワビを入れ、
魚から脱出してニネヴェに行くことになるのです。

が、ニネヴェの民衆もアッシリア王も、えらく素直な連中で、
速攻で警告の預言を受け入れ、改心してしまったため、
ヤハウェのアニキは神罰を中止と決定します。

すると今度は、わざわざ遠いところから出かけていったヨナがトサカに来てしまい、
こんな素直な連中なんだから、わざわざ預言に来なくてもなんとかなったはず!
とヘソを曲げて、ニネヴェの街の東でストライキに入ります(笑)。

最後は、ヤハウェさんが適当になだめすかして終わるのですが、
彼のストライキは続行中のまま、物語は打ち切られ、
まさに投げっぱなしで終わってしまうのです(笑)。

とりあえず、あのヤハウェ閣下相手に、最後まで一歩も引かなかったのは、
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教を通じて、この人だけじゃないでしょうか。




さて、レリーフを見て行きましょうか。

ライオン狩りといえども、兵站が大事なのよ、
とばかりに、最初は何かを運んでるらしい人たちが登場。


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