■アクバルなイスラム



最初はもう、当然のごとくこれ。
イスラムの聖典、コーランでございます。
英語のつづりも何種類かあるんですが、ここではQur'anとされてました。

多くの国家にまたがり、国際的に展開してる宗教は、
現代では仏教、キリスト教、イスラム教の三つでしょう。

このうち、イスラムは一番新しく、
開祖であるマホメット(ムハマンド)が、7世紀に始めたものです。

で、イスラムの特殊性は、開祖が大金持ちになるわ、国を造って支配者になるわと
壮絶なハッピーエンドで終わる、という説得力のある宗派な点でしょう(笑)。
ウチの宗教を信じれば幸福になれるぜ、というなら、
イスラム教は唯一、実証例がある宗教なわけで。

キリスト教なんて、開祖に関しては不幸とビンボーくじのオンパレードだからなあ…

展示のコーランは17世紀、中国に住むイスラム教徒が筆写したもので、
シニ書体(Sini script)という中国独自のアラビア語書体で書かれてるそうな。
もっとも独自なのは書体だけで、中身は普通にアラビア語です。

ご覧のように装飾性の高い本で、こんなんでコーラン全巻を筆記したら
エライことになるのでは?と思ったんですが、
解説によるとやはり全30巻にもなるうちの一冊なんだそうな。

旧約聖書などに比べると情報量は少ないコーランですが、
全編が詩というか歌で構成されてるため、1ページに収まる情報量がすくなく、
ページ数だけで見ると、聖書の半分以上の量はあるかもしれません。

でもって、宗教の聖典としてのコーランはアラビア語以外で読むことを禁じられています。
ダジャレや、韻を踏んでる部分が非常に多く、
実際、他の言語に翻訳するのはかなり大変な本らしいです。
ただ一応、学術的な翻訳は問題ないらしく、数ヶ国語に翻訳されてます。

余談ですが、岩波文庫のコーランは翻訳はわかりやすいし、
解説もすばらしい、という岩波文庫とは思えない本で(笑)、
興味のある人は、一読をオススメします。
概略を知りたい、というだけなら上、中、下のうち、
下巻を読むだけでも、下手なイスラム文化の本10冊読むより役に立つでしょう。



イスラム式の代表的な装飾、との事でしたが、
解説を撮影しそこねて、詳細不明…。



展示室全体はこんな感じ。
奥の壁の向こうにも続いてますので、かなり広いです。



イスラム美術の展示。
絵画は少なく、基本的には陶磁器と金属製品でした。


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