■とにかく世界に飛び出して
さて、またも当時の韓国軍の火器類から。
まずは重火器系です。
一番手前はM72 LAW(Light
Anti-Tank
Weapon) 66mmロケットランチャー。
米軍では1963年から配備が始まったバズーカ砲の後継対戦車兵器ですね。
これは使い捨てで、2000年代の価格で1本あたり約1050ドル、
日本円だと10万円以下、という格安の対戦車兵器となっています。
3ヶ月くらいM72貯金をすれば日本のサラリーマンでも買えるお値段ですね(笑)。
ただし、1980年代ごろから登場した複合装甲板の戦車には無力で、
現在は対軽装甲車といった任務に使われてるようです。
その奥は7.62mmのM1919機関銃。
先に出てきた航空機関銃、M2に良く似てますが、
おなじブローニングの機関銃でも、こちらは口径が一回り小さい7.62mmです。
これもその名の通り、1919年に採用された銃ですから、約50歳での参戦。
その奥、ちょっと短めなのが7.62mm M60機関銃。
第二次大戦中のドイツ機関銃の影響を受けて造られた軽機関銃で、
先のM1919の後継機として開発され、1957年から運用されるそうな。
先代とその後継、両方の兵器を平行して使うってのが韓国軍、多いですね。
で、一番奥が例の12.7mm M2機関銃です。
先に見たムスタングに積まれていたものと同じ重機関銃ですが、
こちらは地上用なので、銃身のカバーがありません。
なんで地上用だとカバーを外すのかは知りません(笑)
見て判るようにM1919なんかは地上用でも銃身にカバーがあるんですけどね。
で、さらに奥に見えてるのは60mm迫撃砲ですが、型番不明。
ちなみに日本語だと迫撃砲ですが、
英語だとMortar、例の臼砲と同じ兵器の分類になります。
さて、こっちは普通に歩兵の皆さんが持ち歩いてるタイプの銃らしいです。
一番上が7.62mm M2 カービン。
前回登場したM1カービンの改良型で、韓国陸軍ではかなり長い間使われてました。
誰も覚えてないと思いますが(涙)、初日のホテル近所で見かけた
学生さんによる軍事訓練でも、皆さん、これをもってました。
ただし、遊底(ボルト)を抜いた無稼動銃でしたけども。
その下はあまりに有名な、5.56mm
M16A1アサルトライフル。
銃器ってのは例のコルト ガバメントやモーゼルのように、
時代を2回りくらい先を行ってしまうデザインが時に登場する事があります。
このM16もまさにそれで、1963年、東京オリンピックの前の年から
配備が始まった兵器のデザインとは思えないスタイルです。
これはプラスチックパーツを多用してるからでもあり、
そういう意味でも新時代の兵器だったと思われます。
韓国もベトナムでこれを採用してる、という事ですが
その派遣のピークは1964年から66年までなので、
どれだけ配備されていたかはよくわかりませぬ。
その下は、朝鮮戦争でも登場した
第二次大戦時のアメリカ主力ライフル7.62mm M1ガーランド。
ベトナムでも使ってたんですね。
一番下は、これも朝鮮戦争で登場していたBAR M1918A2機関銃。
これまた、まだ現役だったわけです。
お次はベトコンの皆さんの兵器。
こちらも重火器系から。
一番手前はソ連の40mm対戦車ロケットランチャー、RPG7。
1961年ごろから配備が進んだものですが、
これは中国製のコピーじゃないかと思います。
朝鮮戦争時、RPG1でしたから、わずか10年前後でえらく数字が進んでますね。
ちなみに、アメリカのバズーカ砲のようなラッパ型の方が実は後ろでして、
この展示は他の銃と方向が揃えたつもりが、間違えています(笑)。
左側の筒部分に、ヤシの実型というかラグビーボール型というか、
むき出しの弾頭を装着して、撃ち出す、が正解。
先に出てきたRPG1といい、なぜかここの展示は肝心の弾頭が全く無い状態ですね。
ついでに以前、北朝鮮の不審船が日本の海上保安庁の巡視船に対し、
ぶっ放したのが確かこれのはず。
その奥は朝鮮戦争でも中国軍が持ち込んでた7.62mm RPD軽機関銃。
その次が7.62mm RP46軽機関銃。
どうも前回よくわからん、と書いたDPM機関銃の改良型で、
給弾方式がマガジンからベルトリンクに変更されてるそうな。
そして最後が7.62mm
DP軽機関銃。
前回の最後に登場したDPM機関銃と同じじゃないのか、
と思うんですが、よくわかりません(笑)。
でもって一番奥はソ連の60mm迫撃砲ですが、これも型番不明。
お次はベトコンの皆さんの歩兵銃類。
一番上は、これも中国が朝鮮戦争に持ち込んでいたPPSサブマシンガン。
その下があまりに有名な7.62mm AK-47。
実はこの銃、1949年ごろから配備が始まってますから
朝鮮戦争で使われていても不思議はないんですが、展示では無かったですね。
ただ、朝鮮戦争ではソ連、アメリカともにチョー最新兵器の投入は避けてますから
(当時ソ連はスターリン戦車どころかT-54まで持っていながらT34/84しか供与してない)
そこら辺りの関係でしょうかね。
その下はこれも朝鮮戦争で登場してたSKS
45。
ただしこれ、本来は銃口の下にある折りたたみ式の銃剣がありません。
この博物館の事だから失くしちゃったのか、という気もしますが、
なんらかの理由で外して使っていた可能性もあります。
一番下は、もはや何度目の登場か、という感じのモシン・ナガンM1891/30。
こうして見ると、やっぱり銃器ってのは航空機などに比べると
モデルの寿命が長いですね。
そんなベトナムにおける韓国軍の駐屯地の模型。
周囲にアリの巣状に広がってるのは塹壕による連絡路なんですが、
これは何の意味が…。
塹壕は縦長の陣地で敵の火力を打ち消すには有効ですが、
あらゆる角度から砲弾を撃ち込める円形陣地では意味がないでしょう。
しかもこれだけ地上施設がある状況なら
普通に周囲からの迫撃砲攻撃だけで殲滅できちゃうと思うんですが…
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