■とにかくいろいろあるのだ
まずはここの主ともいえるB-52Dストラトフォートレス。
1955年から配備が始まり、21世紀まで現役だった恐るべき長寿戦略爆撃機ですね。
アメリカの戦略爆撃と核兵器を牛耳っていたアメリカ空軍の戦略航空司令部、
SACの象徴とも言える機体です。
ただ、この機体は1955年春に配備開始ですから、朝鮮戦争には投入されてませんし、
もちろん、韓国軍が運用した事もありません。
そもそもD型ですから、ベトナム戦争に投入された機体であり、
なんでこれが韓国の愛国教育施設にあるのかは、全く不明。
ちなみにシリアル番号は55-0105で、ベトナム戦争中、
タイの空軍基地で運用されていた機体です。
余談ながら、当ホームページの旅行記を見てるとなんだかしょっちゅう登場するので、
B52なんて、どこにもである機体じゃん、と思ってしまうかもしれません。
が、2006年の旅行記で登場したイギリスのダックスフォード、
そしてこのソウルの戦争記念館を除くと、
アメリカ国外では他にオーストラリアにあと1機いるだけで、
意外に見る機会のない機体なのです。
もしソウルに行く機会があったら、そのアホみたいに長大な主翼と8発もあるエンジン、
そしてやたらと細い胴体を、一度は見ておいて損はないと思いますよ。
B-52のコクピットまではラダーがあって中をのぞけるのですが、
残念ながら窓が汚れまくりでまともに中は見えませんでした。
が、せっかくなので、そこから見た屋外展示場の全景を。
ね、結構スゴイ感じでしょ。
ついでに画面中央右上に見えてるは、例のソウルタワーです。
ソウル中心部から見てロープウェイの駅とは反対側、
南山の南西にこの記念館は位置してます。
こうして見ると、なんだか田舎の軍事博物館みたいですが、
ここはソウルど真ん中なのです。
さて、どんどん機体の紹介を続けましょう。
アジアではおなじみ、セスナのT-37。
韓国はB型とC型を導入してるはずなんですが、どちらかは説明がなし。
アメリカから購入した、と書いてあったのでそれがホントならB型でしょうか。
(C型はブラジルから中古で買ったらしい)
この機体、極めて小型なジェット機で、どんくらい小型か、といえば
普通に地上に立ったままコクピットに乗り込めます。
そもそも主翼が後退翼ですらないことから、
その性能は察して知るべし、なんですが何しろ安価で使いやすかったので、
1970年代の発展途上国ではかなり使われました。
タイのように手軽な攻撃機として使っていた国もあるんですが、
韓国では1973年から純粋な中等練習機として運用されたようです。
こちらは世界中でおなじみ、T-28トロージャン(直訳するとトロイ人だが勇者の意味)。
日本人にはあまりなじみがない機体ですが、実は航空自衛隊も
試験用に1機だけ購入しており、現在、浜松の航報館に展示されてます。
ちなみにこの博物館、サブタイプの表記がほとんどないので判断が難しいのですが、
主翼の下に武装用の装備があるので、D型でしょうかね。
1949年初飛行の、ある意味究極のレシプロ練習機で、
約1400馬力のライトR-1820を積んで全備重量で3.6t前後とされますから、
第二次大戦期の戦闘機ほどではないものの、かなりのエンジン余力をもった機体です。
このため、一部の国では攻撃機として使われました。
韓国は1960年から導入、これも純粋に練習機として使ったらしいです。
ついでにこの機体、前エンジンのプロペラ機なのに引き込み式の前脚を採用してしまったため、
オイルクーラーが機首下面に置けなくなってしまいました。
この結果、機首部の斜め下に(向かって右下)設置されてしまった、
という変わった特徴があります。
なんだこれ、と思ったんですが、復活(ブゥハルホ)という機体だとか。
…なんだそりゃ、と思って解説板を見ると、朝鮮戦争終了直後の
1953年10月に韓国空軍の技術者によって作られた
連絡、偵察用の機体なのだとか。
例によって韓国式解説で(笑)さっぱり要領を得ないのですが、
どうも国産第一号の航空機らしいです。
ただしこれが唯一の機体なのか、ある程度量産されたのかもわかりません。
しかもこの機体、エンジン周囲に排気管すら見えず、
どうも実際は1/1レプリカに近いような…。
そもそも、なんぼ小型機とはいえ、あのオモチャみたいなプロペラで
十分な推力が得れたとは考えにくいと思いますし。
ちなみに、機体の命名は、あの反日、反国民、自分を記念しちゃう彼、
李承晩大統領閣下だそうな。
これも見たこと無い機体だなと思ったら
韓国製の初等練習機、KT-1雄飛(ウォンビ)号で、
本格的な量産航空機としては韓国初の機体なんだとか。
機首が妙に長いのはガスタービン、ターボプロップエンジンだからでしょう。
ちなみに初飛行が1991年で配備開始が1999年と言うのは、
単純な構造の機体にしては異常な長期間の感じが…。
もっとも海外にも輸出されてるそうですから、それなりの性能なのでしょう。
ただ、その解説板の日本語解説にあった
“世界高級訓練機として認定されてる”という一文はいかがかと。
世界高級って何?誰が認定したの?と
ツッコミポイントが二つもあるとコメントしにくいです(笑)。
ちなみに英文だと、
KT-1
is regarded as world-class training
plane でして、
世界レベルの練習機と見なされてる、といった説明であり、
“高級”の表現が消えてます。
さらにちなみに中国語だと(原文は簡体字)
KT-1是世界頂級的訓練型飛机 で、
直訳するならKT-1は世界最高峰の練習航空機である、と断言してます。
…アジア方面の皆さんにはちょっと自慢したいけど、
英語圏の人にはハッタリがばれそうだから遠慮した感じ?
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